「国会に行ってきたよ~^^」
長女が中学校の修学旅行で、国会の見学に行ってきたようです。
国会見学の感想などを聞いていると、小学生の次女も話に参加してきて「国会って何をしているところ?」と、少しは興味がありそうです(笑)
「国会は国会議員さんが法律を作っているところだよ~」と教えると、「ふーん、一年中法律を作っているの?」と次女。
おお、良い質問(*^_^*)
「いや、他のこともしているよ」と言いつつ私はとっさに計算しました。「中学で習う前に今教えておけば、中学で習った時に頭に残りやすいハズ!」ということで、国会の仕事内容について教えておくことにしました。
今回は、その際にまとめた内容です。
それでは、国会の仕事内容をわかりやすく、また会期も一覧にまとめたのでご紹介しますね!
国会!仕事内容のまとめ
国会は、国権という国の大事な権力を3つに分けた立法権、行政権、司法権の内、立法権を持っています。立法権とは、法律を作成又は廃止することのできる権利です。
そして立法権を持つ国会の仕事内容は、一番重要な仕事である法律を作成すること以外にも、たくさんあります。
それぞれ、日本国憲法によって決められている国会の仕事内容と権限を、次にまとめました。
国会の仕事1:法律の制定
国会の最も大きな仕事、それは法律を作成することです。内閣や議員から提出された法律案を、おかしな部分はないか?国民のためになるか?などを国会で審議(しんぎ)します。
憲法41条で決められています。
この時に法律案を審議する国会議員は、私達が選挙で選んだ人です。なので、おかしな法案が通らないよう、選挙にちゃんと行って投票することは、私達の生活に直結することなんですね(*^^*)
法律案は次のように作成され、提出されます。
- 閣法:内閣が発議する場合
各省庁などで法律案が作成され、内閣法制局で他の法律などと矛盾がないかなどをチェック。チェックOKなら閣議決定された後に、内閣総理大臣が提出。与党の了承が必要。日本ではこちらが多い。 - 議員立法:議員が発議する場合
衆議院20名以上、参議院10名以上の賛成で提出。予算が伴う場合は、衆議院50名以上、参議院20名以上の賛成が必要。日本では少ない。
審議された結果、衆議院と参議院で可決され成立した法律は天皇によって公布されます。実際に法律が適用される施行までは、一定の期間がもうけられ※、そういった期間をおくことで、国民に知らせることができます。
国会の仕事2:予算の議決と決算の審議
国会の大切な仕事の1つに「お金の使い方を決める」という仕事もあります。国民から預かった大切な税金の使い道を、しっかりチェックするわけですね。
憲法83条、86条で決められています。
来年度※使用するお金を決める予算の議決と、昨年度使ったお金が妥当だったか、決算内容の審議です。
予算で決められた国の支出についてもまとめました。

- 予算(来年度使用するお金)
来年度はこのくらいの金額を使う、という予算は内閣が作成し、国民の生活に役立つか?妥当か?などを国会で検討。 - 決算(昨年度使用したお金)
昨年度はこれとこれにお金を使いました、という決算内容を内閣が国会に報告。その内容を国会で無駄がなかったか?などを審議。
何度も消費税をアップされた国民としては、無駄のないお金の使い方をしてほしいものです・・・(-_-;)

国会の仕事3:条約締結の承認
内閣には、外国と条約※を結ぶ条約締結(じょうやくていけつ)権があります。
そして国会には、その条約を承認する条約承認権があります。
基本的に、内閣は事前に締結する予定の条約を、国会に承認してもらう必要があります(緊急でやむを得ない場合は事後承認)。
日本が外国と結ぶ約束事を文章にしたもの
憲法61条、73条で決められています。
内閣が勝手に外国と約束をしないようにする仕組みですね。
国会の仕事4:内閣総理大臣の指名
国会は、国会議員の中から内閣総理大臣(首相)を指名します。
憲法67条で決められています。
- 衆議院、参議院でそれぞれ投票し首相を一人指名する。
→この時に投票するのはその党の党首・代表になります。 - 両院の指名者が同じならその人が首相に決定。
- 両院の指名者が同じでない場合は両院協議会を開く。
- 両院協議会で選ばれた人が首相となる。
- 両院協議会でも一人を選ぶことができない場合、衆議院の優越により、衆議院で指名された人が総理大臣に。
そうして指名された人を、天皇が内閣総理大臣に任命します。
さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください^^

国会の仕事5:憲法改正の発議
国会は憲法の改正を発議(はつぎ)します。改憲(かいけん)とも言い、憲法96条で決められています。
憲法の改正は、衆議院100名以上、参議院50名以上の賛成で憲法改正案の原案が発議されます。そして各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が憲法改正を発議して国民に提案します。
憲法を改正するには、その憲法改正案に対して国民投票を行い承認される必要があります。
投票期日は、憲法改正の発議をした日から60日~180日以内に国会が決定した日付になります。
国民投票について、詳しくは以下にまとめました。

今は憲法9条の改正が、議論されていますね。



国会の仕事6:衆議院の内閣不信任決議
衆議院は内閣に対して、信任、不信任の決議をすることができます。
憲法69条で決められています。
国会が内閣の行いをチェックして、この内閣はダメだ!退陣を求めよう!という場合に決議(不信任の場合)を行います。
- 内閣不信任(ないかくふしんにん)決議案
可決されると、内閣を信任できないよ!という決議。主に野党から出される。 - 内閣信任(ないかくしんにん)決議案
上記の逆で、可決されると信任できる、否決されると信任できないよ!という決議。
内閣不信任決議案が可決された時、又は内閣信任決議案が否決された時は、内閣は10日以内に衆議院を解散しない限り、総辞職しなければいけません。

国会の仕事7:両議院の国政調査
衆議院と参議院の両院はそれぞれ、国の政治がきちんとしているか調査する権限(国政調査権)を持っています。憲法62条で決められています。
国勢調査と字は似ていますが、別モノです(*^^*)
証人喚問(しょうにんかんもん)で証人を呼んで証言させたり、政府や関係者からの説明聴取や、委員を派遣して調査を行うほか、記録や資料を提出させることなどができます。
両院は国民の代表ですので、行政を監督する強い権限を持っているのですね。
国会の仕事8:裁判官弾劾裁判所の設置
国会は、裁判官弾劾裁判所(さいばんかんだんがいさいばんしょ)を設置しています。
これは憲法64条で決められています。
この弾劾裁判所とは、普段裁判を行う裁判官を「裁判官としてふさわしくない行為をした」「職務上の義務に違反した」などの罷免(ひめん)を求められた裁判官を辞めさせるかどうか、調査、判断する裁判所です。法律家としての資格を剥奪(はくだつ)する厳しいものになります。
衆議院から7名、参議院から7名の合計14名が裁判員として裁判を行います。
国民が実際に裁判官を罷免したい場合は、訴追委員会(そついいいんかい)※に対して裁判官の罷免の訴追を求めることができます。
国会が開かれる会期とは?種類は?一覧表で
会期(かいき)とは、国会が開かれて活動する期間です。
会期の種類は、まず毎年1月に開かれる常会(通常国会)があります。その他必要な場合、臨時会(臨時国会)や、特別会(特別国会)が開かれます。
また、衆議院が解散している間に緊急の問題が起こった場合、参議院だけで集まる国会の代理機関である「参議院の緊急集会」があります。
それぞれ日本国憲法でちゃんと定められていますよ(*^^*)
- 常会(通常国会):憲法52条
- 臨時会(臨時国会):憲法53条
- 特別会(特別国会):憲法54条1項
- 参議院の緊急集会:憲法54条2項但書・3項
国会の会期と種類などを一覧表にまとめました。
種類 | 召集、時期 | 主な内容 | 会期 |
---|---|---|---|
常会(通常国会) | 毎年1回 1月中に召集 | 次年度の予算や法律の審議 | 150日間:延長は1回まで |
臨時会(臨時国会) | ・内閣が必要と決定した時 ・衆議院または参議院どちらかで、総議員の4分の1以上の要求があった時 ・任期満了による衆議院総選挙、又は参議院通常選挙が行われた場合、任期の始まる日から30日以内に召集 | 緊急な事案(災害対策など)や景気対策などの補正予算、法律などの審議 | 国会の議決で決定:延長は2回まで |
特別会(特別国会) | 衆議院の解散による、衆議院総選挙の日から30日以内に召集 | 内閣総理大臣の指名(特別会の召集と同時にそれまでの内閣が総辞職) | 国会の議決で決定:延長は2回まで |
参議院の緊急集会 | 衆議院の解散中に緊急の問題が起こった場合、内閣が集会を決定する | 緊急の事案 | 事案が全て議決された時 |
さいごに
国会の仕事のまとめでした。
国会は法律を作成する以外にも、大切な仕事がたくさんありますね!
国政調査でのチェック機能や改憲の発議など、仕組みも良くできていると思います。他国をお手本にしたり、少しづつ変えてよくしてきたのでしょう。
国会の衆議院と参議院の違いについては、こちらでわかりやすくまとめています。

参議院の緊急集会の説明ですが、「参議院の解散中に緊急の問題が起こった場合、内閣が集会を決定する 」となっています。正しくは「衆議院の解散中に…」ではないでしょうか。
ささん、ありがとうございます!
ご指摘の通り「「衆議院の解散中に…」です。誤字、大変失礼致しました。