アメリカのトランプ大統領は保護貿易推進者で「アメリカをもう一度偉大な国に!」というスローガンのもと、自由貿易協定に反対しています。
もともと米国が主導していたのに、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)からもアッサリ脱退しましたよね(^_^;)
12カ国が参加している協議で通常はあり得ない話です。
さすが覇権国家、ジャイアニズム(笑)
さて、紳士的態度を捨てた米国ですが、トランプさんの好きな保護貿易とは一体どういうものなのでしょうか?
保護貿易とは何か?例を使って簡単にわかりやすくご紹介していきますね。
また、後半では保護貿易のメリットとデメリットについても見ていきたいと思います!
保護貿易とは?簡単にわかりやすく!
輸入への制限方法には次のようなものがあります。
- 商品に関税をかける
関税のかかった商品は、その関税分の商品価格が上がるので売れにくくなります。 - 商品の輸入の量を制限する
他国から輸入する量をゼロ又は少なくします。 - 非関税障壁を設ける
輸入時の手続きや検査を厳しくして、実際に輸入する量を制限します。
上記のように、保護主義とは、様々な方法で外国からの輸入品に制限をかけて国内で売れにくくする政策のことを言います。
現代の国際社会は、保護貿易とは反対の自由貿易、グローバル化を推進していく流れがあり、基本的に自由貿易の方が経済が発展すると言われています。
自由貿易にも問題点はありますが、日本や他国の歴史でも、おおむねグローバル化を推進しつつ発展してきました。
グローバル化の問題点とは?例え話でわかりやすく!ニュースでもよく見聞きするTPPやFTAなども自由貿易協定で、簡単にいうと保護貿易を減らし、自由貿易を推進するための政策です。
保護貿易をする理由は?
それでは、なぜ保護貿易をして自国の産業を守ろう・保護しようとするのでしょうか?
その理由は、次のような流れで自国の産業が衰退してしまうことを防ぐためです。牛肉を例にわかりやすくご紹介します。
- 国産の牛肉は100gで500円
- 外国から同じ味・品質で100g 300円の安い牛肉が輸入される
- 安い外国産牛肉ばかり売れる
- 国産牛肉農家は儲けが少なくなり、倒産・廃業する
- 国内の牛肉産業が廃れる
実際は、高くても一定の人気のある国産牛肉がなくなるわけではありませんので、すぐ廃業とはなりませんが、安い外国産牛肉が輸入される前よりは、確実に売れる量は減ってしまいます。
それでは上記の流れ通り、「この世は弱肉強食。国内産業も競争してこそ強くなる。守ってばかりではダメだ!」と、保護貿易をせずにどんどん外国産の牛肉を輸入し、その結果、国産牛肉農家が減った場合はどうなるでしょうか?
国内産牛肉がなくなっても、安く外国産が買えるから問題ないじゃないか、という理由です。
しかし、これは時に困ったことになります。
それは、外国の農家や外国産の牛肉で問題が行った場合です。以前、狂牛病問題がありましたよね。何かあった時、あてにしていた国からの牛肉の輸入がストップしてしまいます。国同士の仲が悪くなり、輸入をストップされることもあるかもしれません。
そんな外国産が買えない時、国内の牛肉農家はすでにほとんどが廃業していて、その結果牛肉の供給は激減し、価格が高騰※したり、その商品が手に入らなくなる危険性があります。
※もの凄く値段が上がること
安いからと簡単に外国産に頼ってしまうのは、リスクでもあるわけです。
例えば昔の日本の自動車産業です。これから伸びていく可能性があるものの、まだできて間もない時点では外国の製品に価格や品質で太刀打ちできません。日本製品が高品質になる前の話です。そんな場合は国際競争力をつけるまで、保護主義政策で保護する必要があります。
これらの理由から、保護貿易もバランス良く使う必要があります。
保護貿易のメリットは?
保護貿易主義のメリットには、次のものがあります。ざっくりと簡単にご紹介します。
- 国内産業の保護・育成
安い外国製品との競争から守られるので、その産業が成長します。また、高い品質の製品を外国から買うだけでは、いつまでも国内産業は技術発展しません。 - 雇用の増加
保護された産業が成長すると、人を雇います。働く人が増えれば、税金を収め国も豊かになります。 - 貿易赤字の減少
貿易で、輸入額>輸出額だと貿易赤字となります。保護貿易で輸入が減れば、貿易赤字の減少につながります。
ちょうど米国トランプ大統領の発言と政策も、上記のことを意識しているのがわかりやすく感じられます。
続いて、保護貿易のデメリットも見てみましょう。
保護貿易のデメリットは?
良い面もあれば悪い面もあります。こちらでは保護貿易のデメリットをご紹介します。
- 他国から非難される
関税を上げると、その商品を多く輸出していた国は儲からなくなるので、非難されます。 - 制裁や報復を受ける
保護貿易の理由を説明しても納得してもらえない場合、他国からもお返しで関税アップなどの報復を受けます。 - 貿易摩擦の発生
お互いに関税をアップし続け、それがエスカレートしてしまい、他の分野にも悪影響を及ぼしてしまう貿易摩擦・貿易戦争につながる可能性があります。 - 外国の良い商品が買えない
国民は、安くて品質の良い海外製品を購入することができません。 - 外国へ商品を売りにくくなる
外国からの報復で、海外へ売る時に高い関税をかけられますので、商品を売りにくくなります。
実は保護貿易は、第2次世界大戦の一因にもなっています。保護貿易は他国のことも慎重に考えながら行わないといけません。
そのため国際社会は戦争につながってしまったことへの教訓を活かし、自由貿易を推進するためのGATTという国際協定が作られました。(その後GATTはWTOへ発展しています)
どうして保護主義が世界を巻き込んだ第二次世界大戦にまでつながってしまったのか、こちらでご紹介しています。
wto(世界貿易機関)とは?gatt(ガット)との違いもわかりやすく!さいごに
保護貿易主義についてのお話でした!
保護貿易にはメリットもありますが、デメリットが貿易摩擦、貿易戦争に発展する可能性があるので、現在はあまり簡単には行われません。
と思っていたら、アメリカと中国はガチンコで争い始めました(^_^;)
2018年7月にアメリカが発表した中国への関税アップを行う輸入品は、総額約22兆円分だそうです。中国も報復関税を発表しています。経済規模が世界1と2位の国なので、世界中がハラハラしながら見守っている状況です。
どんどんエスカレートして世界的な不況につながらなければ良いのですが・・・
管理人様
いつも楽しく読ませてもらっています。他のどのサイトよりも焦点が絞られていて、限られた枠の中で、とても読みやすい感想を抱いています。かねがね日本の貿易にはバランスが必要と思っているのですが、お偉いさんは、その事にはあまり意識がないようで、ひどく不安です。
考え好ぎかもしれませんが。
ともかく、これからも、応援しています。
まるなか様、こんにちは。
> いつも楽しく読ませてもらっています。他のどのサイトよりも焦点が絞られていて、限られた枠の中で、とても読みやすい感想を抱いています。
嬉しいコメントをありがとうございます!
> かねがね日本の貿易にはバランスが必要と思っているのですが、お偉いさんは、その事にはあまり意識がないようで、ひどく不安です。
バランスは何事にも重要ですよね。日本は米国に追従していますが、今の米国はアンバランスな政策が多いので不安です。
いーね
ぽんたさん、こんにちは。
ありがとうございます!