海外のニュースに目を向けるとここ数年、移民問題についてのニュースがよく取り上げられています。
日本に比べて、ヨーロッパはいち早く移民を推進した「移民先進国」ですが、あまりうまくいっていないようですね。。。
日本でも移民政策に関する議論が行われていて、「少子高齢化による労働者不足を改善するため、移民の受け入れを推進しよう!」という議員さんの発言を見かけます。
うまくいく可能性はとても低いのに・・・
そこで今回は、移民問題とは?なぜ移民の受け入れが原因で社会問題や治安の悪化を招くのか?こちらをわかりやすく、ご紹介していきます。
たとえ、宗教や文化の違いを乗り越えたとしても、それだけではない、解決の難しい問題があるのです。
まずは、先輩であるヨーロッパの移民政策について見てみましょう。
ヨーロッパにおける移民政策とは?ドイツ編
ヨーロッパの中でいち早く移民政策を行った国がドイツです。
第2次世界大戦後、ドイツ政府は大戦後の労働者、労働力不足を補う為にトルコや南ヨーロッパから大量の移民、そしてその家族をドイツ国内に受け入れました(200万人以上)。
それ以外にも、ドイツ経済圏であった旧ユーゴスラビアからも多くの難民を受け入れたり、旧ドイツ領土より追放された人々やその子孫に、帰還移住者としてのドイツ国籍を付与しました。
これら多くの移民の労働力も合わせて、ドイツは戦後ドンドンと成長し、経済復興を遂げました。
→働き手の不足
→税収が減る・年金支払は増える
→移民の若者に働いてもらおう♪
→働き手増加
→経済活性化
→税収アップ( ´∀`)b
という考え方です。
移民を受け入れた側は労働者不足が補えて、移民の人達は豊かな先進国で働き、自分の祖国よりお金を稼げますので、両者win-winの関係です^^
ここまでは移民バンザイ!な状態ですね(*^_^*)
しかし、1970年代に入り石油ショックで経済も不況になってくると、仕事は少なくなり、移民達は大量に失業しました(涙)
そして、ここで大きな誤算がありました。
本来は、移民たちは仕事がなくなれば本国へ帰る※だろう、とドイツ政府は考えていましたが、そのまま住み続けたのです。
それはそうですよね。移住は数年から十数年、またはもっとです。家族を呼び寄せ、家族ごと移住してきてドイツに長い間住んでいる人も多いわけです。本国に帰ろうにも、すでに「どこに帰ればいいのよ?帰る場所なんてないよ!」と帰る先がない人も多かったでしょう。
そのため、今日(2018年)ではドイツ全人口の5人に1人(約1650万人)の割合が移民、また移民の背景を持つ住民となっています。
しかし、それにしても数が多いですよね?
ドイツに移住した移民がここまで爆発的に増えた理由としては、ドイツ人の出生率と移民の出生率に大きな開きがありました。
2世3世と世代を重ねていく中で、その差がさらに開き移民の割合が、大きく増えていきました。特に5歳未満の子供に関しては3人に1人(!)という驚異的な割合になっています。
その内、逆転してしまいそうなほど・・・
ドイツ首相も移民政策は失敗したと発言!
ヨーロッパの抱える移民問題について、移民先進国ドイツのメルケル首相がショッキングな発言をされています。
2004年と2010年の二度にわたり「多文化主義は完全に失敗した」と発言されています。
これってけっこう凄いですΣ(゚Д゚)
国のトップが移民政策は失敗しました!と認めざるを得ない状況、これが現在のドイツなのでしょう。
また、メルケル首相率いる「キリスト教民主同盟」は移民受け入れ推進派であり、2016年9月に行われたベルリン市議会選挙において敗北しました。これについて、「移民受け入れ推進がこの結果につながった」と発言されています。
移民受け入れを推進したから負けました、と。
代わりに大幅に躍進したのが、反移民である新興右派政党である「ドイツのための選択肢」です。世論の流れとして、移民の受け入れを拒否していると言えます。
また、ドイツの隣の国、フランスでも19世紀後半から出生率が低下して人口が減少しはじめ、多くの移民の受け入れを行ってきました。
しかし19世紀とはさすがヨーロッパは早いですね(^^;
→若者が少ない
→働き手が減る
→税収が減る・年金支払は増える
→移民の若者に働いてもらおう
→働き手増加
→経済活性化
→税収アップ♪
ですね。
スイスはEU加盟国ではありませんが、2002年にEUとの間で「移住の自由に関する協定」に調印し、この結果、EU加盟国からスイスへの移民が急増しました。
現在スイスの人口のうち、4人に1人の割合で外国人となっています。
それではなぜ、移民を推進すると問題が起こるのか?移民問題とは?こちらを見てみましょう。
移民の問題点とは?現地の雇用を圧迫する!?
まず、移民は何のためにやってくるのでしょうか?
それは働くため、仕事をしてお金を稼ぐため、ですよね。それでは、その仕事は元々は誰の仕事だったのでしょうか?
それは、その国の国民の仕事ですよね。
仕事があり余っている間は良いです。移民と仲良く仕事を分け合えば良いでしょう。しかし、仕事がなくなってきたら?
例え話でご紹介します。
A国の人間は給料高め、30万円としましょう。B国の人間は給料少なめ、A国に来て稼ぐ給料は20万円としましょう。
A国人より少ないのですが、B国で稼げる額よりも大きいので、B国人は文句を言いませんでした。
そのうち、B国の人はだんだん仕事を覚えていき、A国の人とあまり変わらない仕事※ができるようになってきました。
※特殊な技術や技能を使う職種には当てはまりません。単純労働の場合です。
そこで厳しい不況がA国を襲い、企業は断腸の思いでどちらかをリストラせざるを得なくなりました。
給料の高いA国の人。給料の安いB国の人。仕事ぶりはほぼ変わらない。
企業は、給料の安いB国人を残すことにしました。
リストラされたA国の人は仕事を失い、B国の人は働き続けることができました。
いかがでしょう?
移民受け入れをどんどん進めたあとで、仕事が減ってくるとこういう状況が起こります。なかなか怖い状況ではないでしょうか?しかし、さらに続きがあります。
その時、新たに募集する給料は、A国人に合わせた高い給料30万円か、B国人に合わせた低い給料20万円でしょうか?
企業はまず試しに、低い給料で募集してみました。
すると、出稼ぎに来ているB国人からたくさん応募がありました。しかしA国人からも、応募がありました。A国の人も「低い給料だからイヤだ!」と言っていては雇ってもらえないからです。
企業は同じ給料で良いなら、A国人にしよう、という理由でA国人を安い給料で雇うことができました♪
結果、A国人の給料は安くなり(B国人の給料に近づく)、A国人は以前よりも貧しくなってしまいました。
そして、これが何をもたらすのか?ここからが本当の移民問題です。
失業&給料減が招く移民問題とは?
上記の例題で出てきた、失業した、もしくは貧しくなったA国人は黙っているでしょうか?
失業した!給料が下がった!誰のせいだよコレ(怒怒怒)となった場合に、A国人の怒りはB国人に向かいます。
最初はマイルドなデモなどが起こります。「移民反対!国に帰れ!」などです。しかしその内、荒くれ者の中には、移民に暴行を加える者が出るかもしれません。
または、失業した OR 給料の下がったA国人の家の子が、学校で移民の子供をいじめるかもしれません。
すると、B国の移民はそういう問題へ対処するため、移民同士で自衛のために団結します。移民も真面目に働いているのに、叩かれたらたまりませんから必死です。
ここで、A国人集団 VS B国人集団という敵対関係が出来上がります。
暴行に対する報復もあるでしょう。
つまり、治安が悪化します。学校ではいじめの原因にもなりますし、地域や企業などの内側では移民への差別が始まる可能性もあります。
なんと、平和だったA国は、ギスギスした移民問題を抱える国になってしまいました(涙)
さいごに
移民の問題点とは?でした!
生まれ育った国が違えば、根本的な価値観や考え方が違うことは普通にあります。
しかしそれを乗り越えても、雇用が減る、収入も減る、などの部分で摩擦が起こる可能性というのが現実です。
とても難しい問題ですが、この点を棚上げしたまま移民政策を進めると、あとあと大変なことになりますので、慎重に検討する必要があると思います。