イスラム国の日本人人質事件について

先日、当ブログを読んでくださったかたから、
メッセージをいただきました。

内容は、イスラム国による日本人の人質事件
についてです。

その方は、お子様をお持ちのママさんなのですが、
一連の事件に関するニュースや、それに対する総理の発言などの、
情報にふれられ、不安になられたそうです。

確かに、平和な日本では考えられないような、
衝撃的で痛ましい、非人道的な事件ですよね。

そこで今回は、ちょっと珍しい形ですが、
このいただいたメッセージに対する、当ブログ管理人の、
考えや想いをご紹介します。

イスラム国って何?はコチラ!
イスラム国とは?簡単にわかりやすく!

イスラム国の日本人人質事件のメッセージをもらって

覆面のテロリスト

いただいたメッセージ(一部要約)です。

最近の一連の事件や総理の償わせるなどの言動で、また不安が募ってきています。
オトメンパパさんも危惧されていた中東。とても不安です。
本当に怖いです。
ネットでは戦争一直線みたいな書かれ方をしていたり、日本が矢面になるみたいに書かれていたり・・・。
情勢に詳しいオトメンパパさんは、どんなふうにお考えか伺いたくて、投稿させていただきました。

このメッセージをいただき、当記事で言いたいことは、
次の3つです。

大切な3点
  • 情報の取捨選択は大切
    不要な恐怖と不安を感じないために
  • 日本はイスラム社会を敵に回してはいない:なぜそんなプラカード?
    日本は人道支援を行ったので、むしろイスラム社会からは高評価
  • イスラム国はあくまで犯罪組織

では、それぞれ見ていきましょう。

情報の取捨選択は大切

1つ目は、情報の取捨選択をしましょう

です。

いただいたメッセージには、こう書いてありました。

~引用ここから~

ネットでは戦争一直線みたいな書かれ方をしていたり、
日本が矢面になるみたいに書かれていたり・・・。

~引用ここまで~

これ、本当だったら一大事です。

インターネットの発達で、現在は情報がたくさん溢れています。

そして、情報発信している私が言うのもなんですが、
情報は取捨選択しつつ、現状を判断していきましょう。

そうでないと、本来しなくても良い、
不安や恐怖を感じるかもしれません。

取捨選択で選択すべきは、正しい情報です。

では正しい情報とは?

これは、噂やネットの掲示板などではなく、
報道機関のニュースや、政府の発表です。

日本語のサイトだけで足りなければ、
海外のサイトを確認してみるのもオススメです。

googleのchromeブラウザなどで、自動翻訳機能を使うと、
おおまかな意味は理解できます。

もちろん報道機関のニュースにも誤情報はありますし、掲示板の内容も的を得ていることもあるかと思います。しかし、正しい情報としての確率は、圧倒的に報道機関のニュース、政府発表の方が上です。

例えば、NHKのニュースです。

~引用ここから~

「首相 有志連合への後方支援は行わない」

2015/2/2

安倍総理大臣は参議院予算委員会で、イスラム過激派組織「イスラム国」による日本人殺害事件に関連して、中東地域の避難民に対する人道支援を拡充する方針を示したうえで、「イスラム国」に対して空爆を行っている有志連合への後方支援については行わない考えを示しました。
(後略)

出典:NHKニュース(その後、記事は削除されました)

~引用ここまで~

と、このように首相はおっしゃっています。

これで、空爆をしている国々よりも、
日本が矢面に立つことがあるでしょうか?

ないですよね

何事も絶対はないですが、確率としては「ない」と言えます。

補足:ここでいう報道機関のニュースとは、社説やコラムではない、事実の報道です。社説に関しては、右寄り左寄り様々な報道機関がありますので、バランス良く両方の意見を読んでみると、良いと思います。

罪を償わせる 発言について

あともう一点、総理の、「罪を償わせる発言」についてです。

これは、取捨選択のしようがない、最も重大な日本のトップの発言です。

いただいたメッセージでは、このことについても危惧されています。

~引用ここから~

最近の一連の事件や総理の償わせるなどの言動で、また不安が募ってきています。

~引用ここまで~

こちらは、意味を想像する前に、お話の前後も確認してみます。

~引用ここから~

「誠に無念、痛恨の極み」首相の関係閣僚会議発言全文

2015/2/1

 「湯川遥菜さんに続いて、後藤健二さんを殺害したとみられる映像が公開されました。ご家族のご心痛を思えば、言葉もありません。政府として全力で対応して参りましたが、誠に無念、痛恨の極みであります。このような結果になって、本当に残念でなりません」

 「非道、卑劣極まりないテロ行為に強い怒りを覚えます。許し難い暴挙を断固非難します。テロリストたちを絶対に許さない。その罪を償わせるため、国際社会と連携して参ります。日本がテロに屈することは決してありません」

 「中東への食糧、医療などの人道支援をさらに拡大して参ります。テロと戦う国際社会において、日本としての責任を毅然(きぜん)として果たして参ります。各位にあっては引き続きさらなる情報収集、集約に努め、関係各国との連携を強化し、国内外の日本人の安全確保を徹底するとともに、国際的なテロへの取り組みにわが国としてさらに積極的に取り組むことをお願い致します」

出典:産経ニュース

~引用ここまで~

その罪を償わせるため、国際社会と連携して、とありますので、
国際社会と一緒に、テロと闘っていく姿勢を示した、と言えます。

では、どういった連携をしていくのでしょうか?

これが一番気になります。

現時点では、このような選択肢だと思います。

どんな連携がある?
  1. 空爆に参加する
  2. 空爆に参加している国々の後方支援を行う
  3. 人道支援を行う

メッセージをくださったママさんが不安に思われているのは、
「1」または、「2」ですよね。

これは実現するのでしょうか?

これは、現時点では実現しないと言えます。

罪を償わせると発言された直後に、
「中東への食糧、医療などの人道支援をさらに拡大して参ります」
と、おっしゃっています。

「空爆に参加」や「後方支援をする」というニュアンスのことは、
おっしゃっていません。

さらに、後日、念を押されています。

きっと、総理の「罪を償わせる」という強い発言を受けて、
多くの国民が不安を覚えたのでしょう。

海外の報道機関も、「対立を好まない日本としては珍しい」
「まるで英米などの西側諸国のようだ」と報道しました。

そこで、こういった国内外の反応を受けて、最初にご紹介した総理の発言につながります。

空爆を行っている有志連合への後方支援については行わない

時系列では、こうなります。

これ以降、この内容を覆す発表はありませんので、
やはり、日本が戦争一直線、矢面に立たされる、といった心配は「ない」と言えます。

続いては、日本はイスラム社会を敵に回してはいない、です。

日本はイスラム社会を敵に回していない:なぜそんなプラカード?

今回のテロリストの言い分です。

IS(イスラム国)の言い分

「日本がIS(イスラム国)に敵対する国々に、2億ドルの支援をしやがった。
 だから、日本人も敵だ。誘拐したから身代金を払え。」

でも、日本がした支援は、あくまで人道支援です。

逆恨みもいいところです。

想像してみてください。

イスラム国により、

  • 最愛の家族を亡くした人
  • 土地や家を奪われた人
  • 女性の尊厳を奪われた人
  • 大ケガを負わされた人

このような方々が、たくさんいます。
(英語のウィキペディアなどに、非人道的な数々が記載されています)

イスラム国としては、異教徒の女性は、戦利品だから、
何をしても良いそうです。。。

身の毛もよだつ、ありえない話ですよね。

・・・こういった、住む場所がない、食べ物もない、心のケアもない、
家族もいない、命の危険がある、もうグチャグチャで、大変な思いをしている人が、
難民として、たくさん発生しています。

こういった人たちに必要な支援を、日本は行いました。

そして、イスラム社会からは、感謝されています

当たり前ですよね。

今回の悲しい事件は、この真っ当な人道支援は関係なく、
キッカケとして利用されただけです。

と、こういった事実を知った上で、
2/2の首相官邸前でのデモ

「武力はいらない」とか、「I am not Abe」のプラカードを
持った人たちをニュースで見て、私はとても違和感を覚えました。

「武力はいらない」って、それ、今言うこと?

もちろん、政策に反対するデモは、必要だと思います。

様々な声があるから、政治家は暴走しにくいでしょうし、
そういった声の中から、良いものが選択されていくこともあるでしょう。

しかし、今回の事件は、安倍首相の積極的平和外交は、
関係ないと思います。

それとも、日本は難民の方々への、2億ドルの支援を行わない方が
良かったのでしょうか?

支援をしなかった場合、湯川さんや後藤さんは、
助かったのでしょうか?

残念ながら、関係なかったでしょう。

なぜなら、支援表明のずっと前から、湯川さんは2014年8月、
後藤さんは2014年10月から、拉致監禁されています

では、なぜお二人は拉致監禁されたのでしょうか?

それは、人質とするためですよね。

こちらを次で見てみましょう。

イスラム国はあくまで犯罪組織

鎖につながれた足

イスラム国は、捕らえられる機会があれば、
外国人を拉致監禁しています。

お前は怪しい。敵国のスパイだな!
とかなんとか言って。

そして、身代金の要求に使うわけです。

やっていることは、子供を誘拐して身代金を得る、
犯罪集団です。

身代金が支払われれば、どの国の人も釈放されています。

「イスラム国を敵にまわした!」とか仰々しく言うクセに、
お金をもらえれば、人質を返すのです。

おかしくないですか?

信条とか異教徒とか、関係ないですよね?

ある意味、超ビジネスライクです。

つまり、日本がイスラム国を敵に回したというのは、
適当な後付けです。

2億ドルの人道支援も、関係ない。

その証拠に、後藤さんのご家族には、日本の人道支援の発表前から、
身代金の要求が行われていました

~引用ここから~

日本人人質事件 後藤さん家族に2014年から身代金要求メール
1/20

(前略)
後藤健二さんの家族に対しては、2014年の11月初旬から、身代金を要求するメールが送りつけられていたことがわかった。
政府関係者によると、後藤さんは、2014年10月に連絡がつかない状態になっていたが、11月の初旬になって、妻のところに、「イスラム国」の関係者を名乗る人物から、メールが送りつけられ、「後藤さんを誘拐しているので、日本円で、およそ10億円の身代金を払え」と要求してきたという。

出典:FNNニュース(その後、記事は削除されました)

~引用ここまで~

安倍首相が、エジプト・アラブ共和国で、
イスラム国を刺激するスピーチをしたからではありません

その前から、誘拐されていました。

スピーチの全文も、外務省のHPで見ることができますが、やはり刺激するような内容ではありません。

今回、日本人の方2名が人質になったのは、手っ取り早く、
多額の資金を集められそうだ、と思われてしまったからではないでしょうか。

もし今回、2億ドルの支援がなくて、身代金を要求されなかったとします。

そしたら、釈放されたのでしょうか?

確率としては、少ないと言えるのではないでしょうか。

活動資金が少なくなってきたり、何かの要求が発生すれば、
別の理由をつけて、人質カードを使っただろうと予想できます。

つまり、今回の人質事件に関して、イスラム国は
あくまで犯罪組織であり、それ以上でも以下でもありません

そのため、普通に日本にいる方が、必要以上に
不安に感じることは、ないと言えます。

さいごに

イスラム国の日本人人質事件について、でした。

安倍首相は、この2年間(2015年現在)で、5回も中東を訪問されています。

中東のイスラム国家を敵に回している状態なら、
こんな回数を訪問することは、無理ですよね。

良好な関係が築けているといえます。

謹んで、湯川さん、後藤さんのご冥福をお祈りいたします。

6 COMMENTS

一児ママ

ヤナイさん、記事をありがとうございました!
示してくださったページ等確認していて、お礼が遅くなってすみません。
とてもよくわかりました。
そして安心しました。
テレビやネットで、戦争国家になっただとか、その他反論や否定の意見を見かけるたびに、発表を本当に信じていいのか?と疑心暗鬼になっていました。海外のサイトで日本にしては珍しいと言われるくらい、立場などを明確にしたのはきっと本当に稀なことなのでしょうね・・・。それが良いことだと信じて、私ももっと全体を見渡せるような情報に行きつけるスキルを身に着けたいと思います。でもやっぱりああいった発言は不安になるので、軍事目的でないことをちゃんと織り交ぜてもう少しやわらあい表現でもって発表自体もしてもらえたらなーと少し思ってしまいます(汗)
本当に本当にありがとうございました!!

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ヤナイ

一児ママさん、こんにちは!

> 示してくださったページ等確認していて、お礼が遅くなってすみません。

いえいえ、とんでもないです。

> でもやっぱりああいった発言は不安になるので、軍事目的でないことをちゃんと織り交ぜてもう少しやわらあい表現でもって発表自体もしてもらえたらなーと少し思ってしまいます(汗)

この発表に関しては、あくまで私の勝手な推測ですが、国民の反応を見る目的もあったんじゃないかな?
とも思います。

償わせるという言葉に対する反応が、もし国民の過半数から指示されている雰囲気だったら、この後、もう少し強めの発言や行動が出たかもしれません。あくまで推測ですが。

普通の国家なら、国民があんな目にあえば、何らかの報復措置をとるでしょう。
首相も取りたいのではないでしょうか?これも、あくまで推測ですが。

日本の、間違っても戦争ができない事情や、実際の距離が遠く離れているため、今回は泣き寝入りです。

考えてみると、無実の国民2名を残虐に拉致監禁されて、命や人としての尊厳を蹂躙されたけれど、私達の国は、泣き寝入りすることにしたんです。

ご本人も、ご家族も言葉にできないほど無念でしょう。

これ、悔しくないですか?
私は正直悔しいです。

だけど、相手は規模がとても大きな犯罪集団です。
反撃するなら、相応のリスクがあります。

日本に来られて、地下鉄で毒ガスをまかれたり、繁華街で自爆されるリスクなどですね。

だから、現実的な判断(人道支援としてテロとの闘いに参加)に落ち着きました。

安倍首相は、軍国主義だ!とかなんとか言われてもいますが、外交と国防に関しては、とても現実的で優秀な宰相だと、私は思います。
(消費税増税は大失敗だったと思いますが)

もっと踏み込んだ後方支援や経済制裁など、経済大国3位の日本が本気になれば、できることは多くあると思います。

そして、ややこしいことに、(対中国で)欧米と連携していく必要があるため、中東について、知らんぷりはできません。

・・・それらを全部考慮して、現時点のバランスでは人道支援が妥当なのでしょう。

首相って、大変ですね(^_^;

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一児のママ

返信ありがとうございます!
読み返したら誤字が多くて本当にすみませんでした・・・!
本当に色々な事情が複雑すぎて。。。
今回も、ご家族のことを考えると本当に行き場のない気持ちになります。
報復、そして報復ではなく、もっと根本的に犠牲なくすすめる道はないのかと思ってしまいます。
日本は人道支援で学校を建てたり、根本的なところからテロをなくす支援をしていると知りました。時間はかかるかもしれませんが、そういう支援こそやっぱり大切ですよね。。。
ヤナイさんの記事や返信を読むと、いつも冷静になれます。本当にありがとうございます。
これからも記事をずっと読ませていただきます!

返信する
ヤナイ

一児のママさん、こんにちは^^

> 報復、そして報復ではなく、もっと根本的に犠牲なくすすめる道はないのかと思ってしまいます。

本当にそうですよね。

> 日本は人道支援で学校を建てたり、根本的なところからテロをなくす支援をしていると知りました。時間はかかるかもしれませんが、そういう支援こそやっぱり大切ですよね。。。

はい。調べてみると、日本からの支援って、様々な国で評価されていて、
日本人ってけっこう高感度高いようですよ。

嬉しいことですね^^

> ヤナイさんの記事や返信を読むと、いつも冷静になれます。本当にありがとうございます。
> これからも記事をずっと読ませていただきます!

今後とも、当ブログを宜しくお願い致しますm(_ _)m

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レク

コメント失礼します。

為政者って大変ですよね。国民のために寝る間を惜しんで活動したのに
国民にはまったく理解されず処刑された…なーんて方々は人類史にはたくさんいます。
安部首相に批判が多いのは、ひとえに国民に言論と報道の自由があるとも言えます。
安部首相が善人なのか悪人なのかはご本人を知らないのでなんとも言えませんが
願わくば、日本国民にとって良い方であってほしいものです。

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ヤナイ

レクさま、こんにちは。

コメントありがとうございます。

> 為政者って大変ですよね。国民のために寝る間を惜しんで活動したのに国民にはまったく理解されず処刑された…なーんて方々は人類史にはたくさんいます。

いやもう本当にそう思います!
地位とか名声に固執するような人間には、長く務まる仕事ではないでしょうね・・・

> 安部首相が善人なのか悪人なのかはご本人を知らないのでなんとも言えませんが願わくば、日本国民にとって良い方であってほしいものです。

私は善人だと感じているのですが、もし違う気配が見れらたら、日本国民は優秀なのですぐに選挙で負けるでしょう。
民主党政権の国民への裏切りが、良い勉強になったと思っています(笑)

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