こんにちは、日本と愉快な仲間たち(JAW)の管理人ヤナイです。
先日、読者さんからのリクエストで「円高と円安をもっとわかりやすく紹介してほしい!」というご要望をいただき、記事にしました↓
円高と円安!図と例文ででわかりやすく!その時、「為替相場の変動がもたらす生活への影響についても、基礎から応用まで解説してほしい」というリクエストもいただきました。今回は、そのもう一つのリクエストになります。
フウクマ
円高や円安がお得なのか損をするのかが知りたいわ!
身近なところでは海外旅行や輸入品の価格などが気になるよね。
パパクマ
海外旅行や輸入品の価格についてもわかりやすくご紹介しますね^^
それでは為替が私達の生活にどう影響するのか、円高と円安の経済への影響は?生活はどうなるの?です。
いってみましょう!
円高と円安!海外旅行がお得なのはどっち?
どこまでも青い海に白い砂浜、珍しい料理に非日常的な体験ができる海外旅行。とっても素敵ですよね!
そんな海外旅行は、円高と円安ではどちらがお得なのでしょうか?
海外旅行時は円高の時がお得になります。
例えば、ハワイへ海外旅行に行くために両替をする場合を考えてみましょう。
これが円高の時だとどうなるでしょうか?
例えば2012年1月は1ドル=80円でした。この時1,000ドルを両替しようとすると、8万円があればOKでした。
差額はなんと2万8千円です。26%も安くドルに両替することができます。
フウクマ
円高の時は少ないお金(円)でたくさんドルに両替できるのね!
そうだね。円高の時は海外旅行に行く人が増える傾向があるよ。
パパクマ
フウクマ
円安の時はどうなるのかしら?
やはり逆も気になりますよね。次では、円安の時の旅行に関する影響を見てみましょう。
円安の時は海外からの旅行者が増える
逆に円安になると、日本人が海外旅行に行く場合のお得感は下がりますが、日本経済には大きなプラスになります。
なぜなら、外国の人が日本円に両替する時に、先ほどの両替の例と同じでお得に両替できるからです。
そうすると外国から見た日本への旅行にお得感が出てきて、海外からの旅行者が増えるという理屈です。そして円安により日本へ来る外国人が増えると、観光業界を始め百貨店などの小売業界、外食やホテル業界など様々な分野に経済的メリットがあります。
フウクマ
たくさん観光してご飯を食べて、お土産も買うものね!
上記であげた業界はもちろん、様々な業界が海外からの旅行者が落とすお金で潤いますので、そういった業界で働く人達は給与や待遇でメリットがありますね^^
日本政府も訪日客が増えることが、大きな経済的メリットをもたらしGDPが増加することがわかっているので、東京オリンピックを予定していたの2020年には訪日外国人の目標を4,000万人としていました。
(2030年には6,000万人)
出典:政府、訪日外国人目標を一気に倍増 2020年=4000万人、2030年=6000万人
日本には都会もあれば、豊かな自然を安全に清潔に満喫することができます。長い歴史のある京都や奈良、訪日客に大人気の城崎温泉を始めとする各温泉地など、魅力的な場所がたくさんありますので、無理な目標ではありませんでした。
しかし新型感染症が世界中で拡大したため、これまでのように訪日客を増やしてGDPを押し上げる計画は断念せざるを得なくなりました。
訪日客による経済効果を抜本的に見直す必要がでてきたよ。
パパクマ
円高や円安よりも、健康と安全が脅かされることが何よりも大きな影響があることがわかる出来事でした。
円高と円安!輸出業界への影響は?
円高になると海外旅行の時はお得ですが、輸出にはどう影響するのでしょうか?
日本は年間約160兆円という規模の貿易大国(世界第4位)ですので、為替変動は大きな影響を日本にもたらします。
管理人が学校で習った頃は、日本は原材料を輸入して加工品を製造しそれらを輸出して稼ぐ国家として習ったのですが、近年の日本は輸出入の金額はほぼ同額になっています。
輸入 | 輸出 | |
---|---|---|
2019年 | 76兆9,317億円 | 78兆5,995億円 |
2018年 | 81兆4,787億円 | 82兆7,033億円 |
2017年 | 78兆2,864億円 | 75兆3,792億円 |
それでは輸出入のうち、輸出に有利なのは円高の時でしょうか?それとも円安の時でしょうか?
輸出の際は円安がお得になります。
こちらも例え話でご紹介しますね。
トヨタがをアメリカへ輸出するとします。
<プリウスイメージ>
出典:トヨタHPプリウス
燃費の良い人気車種プリウスはアメリカでよく売れていて、販売価格は3万ドルです。
1台売れれば3万ドルの売上です。
儲けを計算すると、2020年7月現在の為替では1ドル=108円なのでトヨタは円に換算すると3万ドル×108円=324万円の売上です。
それでは現在よりも円高の時、例えば2012年1月ではいくらの売上になったのでしょうか?
当時は1ドル=80円でしたので、3万ドル×80円=240万円の売上となります。
- 円安(1ドル=108円)の時:324万円
- 円高(1ドル=80円)の時:240万円
差額は・・・
324万円-240万円=84万円になります。
※実際には円安の時は3万ドル⇒2万8千ドルなどと値引きするでしょうから、この通りではありませんが値引きされた日本車はよく売れるため結果として売上はアップします。
フウクマ
84万円の差額ってかなり大きな差なのね。
輸出業界には円安はとてもプラスになるよ。
パパクマ
円安が続くと輸出業界は利益が出て儲かるため、輸出業界に勤める人にとっては給与が増えて個人の収入面でプラスになります。
続いて、輸入品について見てみましょう。
円高と円安!輸入業界への影響は?
輸出は、円安の時に儲かることがわかりました。
それでは輸入についてはどういった影響があるのでしょうか?
フウクマ
輸出とは逆になるから・・・輸入は円高がお得になる!
フウクマちゃん正解!
輸出とは逆で、輸入は円高の時がお得になります。
例えば、海外メーカーのヘアブラシを輸入するとします。価格は1個約100ドルです。
2020年7月の為替ですと1ドル=108円なので、支払う円は100ドル×108円で10,800円です。
これを今よりも円高の1ドル=80円の時に購入したとしましょう。すると、この時に支払う円は100ドル×80円で8,000円です。
差額は2,800円で、円高時は2,800円も安く購入できることになります。
- 2012年1月:8,000円
- 2020年7月:10,800円
そのため、輸入品は円高の時にお得に購入することができます。
輸入品を扱う企業は、円高の時に安く仕入れることができ、儲かりやすくなります。
フウクマ
海外ブランドが安く買えるなら、円高も良さそうね!
円高も円安も行き過ぎると良くなくて、バランスが大事だよ。
パパクマ
応用編:円高が進行すると国家にはマイナスとなる例
続いては応用編です。
国内で製造し海外へ輸出する企業は円高時に利益が減ります。そのため企業は生き残りをかけて生産拠点を移し挽回をはかりますが、それは日本国にとって悪影響となる例え話でご紹介します。
しかしさらに円高が進んだため、売上は落ちこみボーナスは全額カット、人員整理をするほどになりました。
従業員の収入は減少し、中には職を失う人も現れました。
それでもさらに円高が進み、日本国内の工場で製造していては採算が合わなくなってしまいました。
そこで、メーカーAは為替の影響を受けない海外に工場を移転することにしました。
販売先の海外で製造することで、輸出に関する為替の差をなくす作戦です。
これは有効でした。円高による為替の損失もなくなり、メーカーAの利益は回復し従業員の給与は元の水準に戻りました。
ここまではメデタシメデタシなのですが、日本国に目を向けると続きがあり・・・
海外に生産工場を移転した結果、代わりに日本国内の工場は閉鎖されました。さらに、海外の工場で働く人は主に外国人なので日本人の雇用は大幅に減少しました。
これを産業の空洞化と言います。
産業の空洞化は、国の経済や財政を悪化させてしまうよ。
パパクマ
フウクマ
海外に工場を移すことは企業としては良い判断でも、日本の国としては良くないのね。。。
産業の空洞化は一度発生すると、環境が変わってもなかなか回復しない特徴があります。海外に移した工場や人員を再度国内に移転することは大きな手間とコストが必要となるためです。
応用編:円安が進行すると国家にはマイナスとなる例
続いては円安時の国へのデメリットですが、日本は長い時間をかけてじっくりと円高が進行してきました。1990年頃のバブルの原因になったこともあります。
バブル経済~日本のバブルの原因とは!?日本の為替の推移を抜粋して一覧にします。
- 1973年1月:1ドル301円
- 1978年1月:1ドル241円
- 1986年1月:1ドル200円
- 1987年1月:1ドル154円
- 1988年1月:1ドル127円
- 1994年1月:1ドル111円
- 1995年1月:1ドル99円
- 1999年1月:1ドル113円
- 2002年1月:1ドル132円
- 2006年1月:1ドル115円
- 2011年1月:1ドル82円
- 2012年1月:1ドル77円
- 2014年1月:1ドル103円
- 2018年1月:1ドル110円
- 2020年1月:1ドル109円
出典:日本銀行HPより
フウクマ
昔は1ドル300円なんて時もあったのね!
日本は(ドルに対して)、元々かなりの円安だった状態から徐々に(時には急激に)円高になってきたという経緯があるため、円安が進行して環境ががらりと変わったしまった、というようなことはありませんでした。
日本は資源の乏しい国ですから、原油やガスなどを始め、商品を製造するための様々な原料もたくさん輸入しています。
今後、急な円安の進行が発生した場合、それら輸入するための費用が大きくなり貿易赤字になることが予想されます。
特に東日本大震災以降は原発が停止した分を火力発電で補い、燃料となる原油の輸入が増えて貿易赤字になる年も発生したよ。
パパクマ
また、食料自給率も非常に低いため食料品もかなり輸入しています。
そのため、円安時には普通に輸入品全般が値上がりし、経済や家計を圧迫する要因となります。
日本は他の先進国と比べて、極端に食料自給率が低いのが問題視されているよ。
パパクマ
さいごに
円高と円安の企業や生活(家計)への影響でした。
ちなみに何度か例え話で出てきた円高の例である2012年は、民主党という政党が政権を担当していました。
日本は長い間、自民党が政権を担当していて久しぶりに新しい与党が誕生し日本国民は皆期待したものですが、不慣れな政権担当で異常な円高を招き、日本経済は混乱することになりました。。
やはり経済活動は政治がしっかり安定していないと、円高も円安もないんだな!マジで頼むわ政治家さん!と感じましたね。
希望の党はなぜ負けたの?本当の理由はコレ!
円安は国内向け産業にとって他の輸入品との競争力が上がるとの話も聞きました。以前円安でヨーロッパの建築用木材が値上がりし国内産の木材への注目が上がっていたとの事です。
ねこねこ様、こんにちは。
そうですね。円安=海外での日本製品が安くなる、ですね♪