2015年7月、衆議院で安全保障関連法案が採決されました。
(当ブログでも集団的自衛権についてはかなり盛り上がりました)
この時、野党は出席したものの採決には応じなかったため、結果的に与党のみで採決するという形になりました。これが、強行採決と呼ばれているものです。
野党の議員さんは、「強行採決反対!!」などのプラカードを掲げていて、国会周辺でも強行採決に反対する市民のデモが起こっていました。
強行採決と言うと、民主主義を無視した強引な決め方、のようなニュアンスが感じられますが、多数決で決める民主主義の国会で、それはどういうことなのでしょうか?
テレビでの中継では、国会議員の方がワアワア!と声を荒げているシーンを観ることがありますよね。
そこで今回は、強行採決とはどういう事なのか?こちらをご紹介しますね。また、強行採決の問題点も一緒に見ていきましょう。
強行採決とは?どういう状態?
強行採決とは、国会で法律を採決する時に、与野党による合意が得られていない状況で、法案の採決を行うことです。
本来は、日本の法律の多くは全会一致で成立しています。
与野党が部分的に対立していても、議論を重ねて修正をしたり妥協しつつ、与野党がともに支持する法案に修正し、採決をとる時点では与野党が納得の上で採決をとります。
しかし、まったく意見がくい違い、合意に至らない状態で審議日程が終了してしまった場合は、与党が自分達の主張のまま採決するか、再度野党と審議を継続するか選択することになります。
ここで、「もう合意には至らなさそうだし、俺たち(与党)の意見で採決しよう!」となった場合に、与党側の委員長の職権で採決することで、強行採決となります(仮に委員長が野党の国会議員の場合は、成立しません)。
つまり、実際には採決自体は強行ではなく、民主主義の基本である多数決となります。
強行採決はダメ?
この答え、一概にYesともNoとも言えません。
2015年の安全保障関連法案では、民主党が「強行採決反対!」とプラカードを持っていましたが、民主党政権時代にも強行採決は何度も行われています(^^;
実際、強行採決そのものが悪いもの批判されるべきもの、というものではありません。
強行採決に至る手続き上は、国会法や衆議院規則など基づいているため、特に問題はありません。
また、限られた時間内で議論を重ねたのであれば、決めるときは決める!という決断も必要ですよね。
この決断の時に、やはり与党が賛成して決まる多数決という形(これが強行採決と言われる)を取るのは、理にかなっているように思えます。
そもそも日本は「民主主義」国家です。民主主義において、最終的に多数決で決めるのが、なぜ批判されるのでしょうか。
民主主義だから多数決!?
多数決が全てOKであれば、極端な話、国会は必要ないのかもしれません。
選挙で多数派が決まった時点で、多数派が推進している法案がすべて成立!となりますよね。しかし少数派の野党の議員さんも国民に選ばれた、様々な地域の代表です。
少数派の意見が正しいこともあります。そのため小数派の意見も取り入れ、十分な審議をする必要があります。
本来、法案審議の場では与党が提出した案に対し、野党があらゆる問題点などを与党に質問し、それを与党側が明確に回答していくという事が行われます。
この問題点の提示と回答が、とても大切な事なのですね。
問題点を提示され、見落としていた部分が無いかまたは間違っている部分が無いか再確認できるのです。こうした議論が繰り返されることにより、より良い法案の成立につながります(#^.^#)
強行採決の問題点は?
強行採決の問題点、というよりは、それに至る過程に問題があると言えます。
強行採決自体は、明確な中身のある議論がなされていれば、それほど問題になる事はありません。
ただし、野党側からの質問に対し、与党側が明確な回答を示すことができなかったのに審議時間が終了したから、という理由で強行採決に至るとしたら、それが問題ですね。
与党側は、提出した案件に対してきちんと審議できるように十分な時間を取り、そして野党側から出された質問に明確に回答しなければなりません。
そのため、次の強行採決は問題と言えます。
また、野党側も反対反対!と言い続けるだけでなく、明確な理由や根拠、そしてもっと良い改案を提示する必要があります。
さいごに
強行採決と、その問題点についてでした!
お互いを批判するだけではなく、しっかりと法案について審議して、国民にとってベストな法案を成立させてほしいものですね。国民としては。
とてもわかりやすく、政治経済に疎い私でも理解できました。このブログのお陰で知識を蓄えることができて、ついに英検1級2次を突破することができました。感謝しています。ありがとうございました。
chopinさま、こんにちは!
嬉しいコメントをありがとうございます^^
英検一級の二次も素晴らしいご活躍ですね!おめでとうございます。
お礼を言っていただくと何だか恐縮しますが、これからも頑張ってくださいm(_ _)m
つい最近このブログのことを知り、過去の記事から読ませていただいています。今回の記事もとても分かりかったです!
一つ質問させていただきたいのですが、今回の安保法制の採決時にも強行採決という形が取られたと思うのですが、議論はされつくしたのでしょうか?ヤナイ様はどうお考えですか?
てるおさま
嬉しいコメントをありがとうございます。
> 今回の安保法制の採決時にも強行採決という形が取られたと思うのですが、議論はされつくしたのでしょうか?
議論はされつくしていないと思っています。
また、国民への説明も足りていないように思えます。
(私は安保法制は必要だと思っています)
ちなみに、ニュースを含め、よくテレビを見ている私の母の意見です。
「私は反対だね。だって戦争できる国になってしまうんでしょ?」
衝撃でしたw
しかし、これが一部の方達の認識としてあるわけです。
政府はもう少しわかりやすく、国民への説明に税金を使っても良いと思いました。。。
強行採決についてよく思うのですが…
最近の事例では、ほぼその全てが、野党の審議拒否、又はスキャンダル追及により、審議時間が浪費され、結果として審議対象とする法案を審議する時間がなくなったにもかかわらず、与党による強行な国会運営がなされたかのような印象を与えるような報道がなされていると感じます。
ありますよね~
上から目線で恐縮ですが、国民の1人として、野党のレベルアップを切に望みます(笑)
報道の偏りも(笑)
えっと…単純に裁決してるだけでしょ?
何から何まで意見が一致するわけないでしょ。
もし嫌なら、議員数を確保して過半数以上を確保すればいいだけじゃないか。自分の言うことが通らないからって、審議拒否する烏合の衆に時間をかけてやる必要性は感じない。逆に議員資格剥奪して支払われた給与を国庫に返納して欲しい。
海豚さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
> 審議拒否する烏合の衆に時間をかけてやる必要性は感じない。
審議拒否はダメですよね。しっかり国民のために審議してほしいものです。