2014年、ベトナムでは大規模な反中デモが起こりました。
デモといえば、中国による反日デモの印象が強烈すぎて、
当の中国がデモの対象なんて、なんだか不思議です(^_^;
しかし、デモはだんだんと激しさを増し、一部の
暴徒化した人々は、中国系の企業や工場を襲いました。
その結果、多数の負傷者と数十人の死者を出す、
大惨事となってしまいました。
では何があって、ベトナムの人達はこんなにも、
中国に対して「怒った」のでしょうか?
直接の原因は、2014年5月頭から始まった
中国による、一方的な石油の採掘です。
この採掘場所が、中国とベトナムが領有を争う、
南シナ海の西沙諸島付近の海域だったんですね。
しかし、これだけではありません。
もっと以前から、反中感情は高まっていました。
今回は、ベトナムの反中デモの原因をわかりやすくご紹介したいと思います。
中国の石油採掘~ベトナムでの反中デモを時系列で!
中国の国営企業による石油の採掘から、
ベトナムで起きた反中デモまでを、時系列でご紹介します。
- 2014年5月頭、中国が西沙諸島近くの海域で、石油の採掘を一方的に宣言し開始
- ベトナムがこれに抗議し、採掘の中止を中国に求める
- 中国はベトナムの抗議を拒否
- ベトナム船が石油採掘中の海域に入り、中国側行動の阻止を試みる
- 中国船はベトナム船に体当たりし、中越双方で放水の応酬を行う
- 5月7日、ベトナム政府は体当たりの証拠映像を公開
- 5月10頃~これらの一連の動きに対する反中デモが、
首都ハノイや南部ホーチミンを中心に行われる
⇒激しいものは、数十人の死者が出るほど - 中国は「両国間の交流計画を部分的に中止する」と声明を発表
- 中国は、艦船や飛行機を派遣し中国人3千人以上を帰国させる
- 5月18日頃、中越(ベトナム)国境付近に、中国軍部隊が移動中との情報あり
- 5月18日ベトナム政府は、当初容認していたデモの取り締まりを開始、
事態の沈静化をはかる
ベトナムって共産党政権だからか、デモは基本的に規制されます。
しかし今回は、国民の反中感情の高まりへの配慮や、
ベトナム政府としての抗議の意味も含めてか、
デモを当初、容認していました。
しかし、犠牲者が出たことと、中国軍の動きから、
デモを取り締まるようになりました。
そして、この船の体当たりの証拠の動画ですが、
ベトナム政府は、すぐに世界に向けて公開しています。
中国海警局※の船による、ベトナム船への体当たりの映像がyoutubeにアップされました。
自国にとって有利な証拠なので、迅速に動画を公開したのですね^^
当たり前ですよね~
でも、過去に我が日本で同じようなことが
起こったことを思い出します。。。
あの時に体当たりしてきた中国の船は、
漁船ではありましたが、今回と少し似ているな、と思いました。
当時の日本の民主党政権は、これを隠しました・・・
国民のほとんどが、
「なんでやねん!!」
と、情けなく思ったことでしょう。
本当に残念な対応ですし、今から振り返ってみても、
改めて、いかにおかしな対応だったかが、際立ちます(^^;
西沙諸島に関する中国とベトナムの近代の歴史
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次に、西沙諸島における近代の中越(ベトナム)の歴史から、
反中デモが激化してしまった原因を考えてみます。
- ベトナムは近代、フランスの植民地であり、当時、
西沙諸島はフランスによって開発された - フランスの植民地支配の後、西沙諸島の西側半分を
南ベトナム※、東側半分を中国が実行支配する - 1974年に「西沙諸島の戦い」が起こり、中国VSベトナムの海戦が
行われ、勝利した中国が西沙諸島全域を支配する
⇒この時から、ベトナムとしては不当に占拠されているという認識 - 1991年、中国は西沙諸島に軍用の滑走路を建設する
- 2012年、中国は三沙市を新設する(西沙諸島や南沙諸島を管轄する市)
※ベトナム統一前
さらに、西沙諸島以外でも、ベトナムと中国は、
よくもめてきました。
- 1979年に中越戦争(ベトナム勝利)
- 1984年に中越国境紛争(中国勝利)
- 1988年:南沙諸島(スプラトリー諸島)海戦(中国勝利)
上記の戦争や紛争では、犠牲者もたくさん出ています。
つまり上記の歴史を振り返ってみると、
ベトナムとしては、
「西沙諸島を不当に占拠されている」
という思いがある上に、何度も戦争をしかけてくる
中国に対して、強い反中感情がすでにあったんですね。
そこへきて、今回の中国による強引な石油採掘です。
いい加減にしろ!堪忍袋の緒が切れた!
となったんです。
でも、この一連の流れは、決して他人事ではないんです。
それは、我が国の尖閣諸島のことです。
今は日米同盟が機能していて、中国は積極的に
行動していません。
しかし、アメリカは尖閣を守らない、又は介入しないだろう、
と中国が思った時は、同じようなことが日中でも起こり得ます。
おわりに
今回の、ベトナムによる反中デモを見ていて、
2010年、2012年に中国で起きた、大規模な反日デモ
を思い出しました。
日系のスーパーや百貨店が襲われ、外壁や窓ガラスは割られ、
火事場泥棒のように商品は根こそぎ持っていかれました。
日系の工場も襲撃されるし、日本車も放火され、
無残な姿の画像を目にしました。
しかし、これらに対する補償は2014年5月時点では、
一部しか賠償されていません。
にもかかわらず、中国は、ベトナムにはしっかり
賠償請求するようです。
う~ん、まさにジャイアニズム( ̄▽ ̄)
次回、中国とベトナムの領土問題について、
詳しくまとめたいと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。
わかりやすい
ありがとうございます^^