2014年3月に、ロシアが軍事介入し、
ウクライナのクリミア半島に、ロシア軍が展開しています。
何がどうなって、戦争一歩手前の状態にまで、
なってしまったのでしょうか??
ウクライナは、東はロシア、西にポーランド、ハンガリーといった
国々に、囲まれた場所にあります。
南には黒海があり、その対岸はトルコです。
ざっくり簡単にいうと、国境の左半分はヨーロッパに接していて、
右半分はロシアに接しています。
歴史的に、重要な地域・紛争の起こりやすい地域でもあります。
あと、2014年冬季オリンピックが行われた、ソチの近くでもありますね。
フィギュアスケートで大いに盛り上がりました^^
今回は、このウクライナにロシアが軍事介入した理由や、
原因をわかりやすくご紹介したいと思います。
ソ連崩壊以降~最近のウクライナ
まずは、ウクライナの最近の歴史をざっと確認します。
ソ連時代には、ウクライナはソ連の一部でした。
ソ連崩壊に伴い、ウクライナとして独立しましたが、
その後もロシアとは、深いつながりがあります。
政権は、しばらく親ロシア政権でしたが、
2004年にオレンジ革命と呼ばれる政権交代が起こり、
親米・親ヨーロッパのユシチェンコ政権が誕生しました。
しかし、それまで親ロシアならではの、非常に安い価格で、
天然ガスをウクライナに売っていたロシアは、
「親米なら普通の一般価格で売るけど、何か?」
と、優遇価格を撤廃し、ガス価格の値上げを行いました。
ガス代が高くなり、国民は不満爆発、
ロシアとウクライナは対立します。
不満を表すウクライナに怒ったロシアは、
なんとウクライナへの、ガスをストップ(;゚Д゚)
その結果ウクライナは、こんな状況はかなわん!ということで、
親ロのヤヌコビッチ首相が誕生しました。
その後、2010年の大統領選で、
ヤヌコビッチは大統領となります。
ヤヌコビッチは、ロシアに近づきつつも、
EUとの自由貿易を含んだ連合協定も検討し始め、
(EUからの経済援助も含めて)EUに接近します。
しかし、EUからの経済援助が断られたことと、
ロシアからの、EUに接近するな!という強い圧力で、
2013年に連合協定は断念します。
そして、その見返りとして、ロシアから、
150億ユーロの援助の約束をゲットします。
しかし、これらの動きが全て、
ウクライナの国益のためなら良いのでしょうが・・・
腐敗していくヤヌコビッチ政権
ヤヌコビッチはどんどん腐敗していきました。
少なくとも、国民はそう思ったようです。
腐敗したヤヌコビッチ政権への不満を抱え、
EUへの接近を良しとする、主にウクライナ西側の国民は、
反政権デモを繰り返すようになりました。
デモはどんどん激しくなり、
暴力も使われ、デモ隊と鎮圧部隊が激しくぶつかりました。
反政権デモの勢いは、日増しに強くなり、
ついには、身の危険を感じたヤヌコビッチは、ロシアに亡命します。
これがロシアが軍事介入するまでの、ウクライナ情勢ですが、
では、なぜロシアは軍事介入したのでしょうか?
ロシアが軍事介入したクリミア半島とその理由
クリミア半島には、親ロシアのクリミア自治共和国があります。
しかし、クリミア自治共和国も含めて、
クリミア半島全体を、ウクライナが領有しています。
そして人口は、ウクライナ全体で見ると、約2割がロシア系の住民で、
クリミア半島に至っては、約6割がロシア系の住民です。
けっこうな人数のロシア人がいるわけですね。
このロシア人達に、武装した過激派勢力が危害を加える可能性があり、
それらからロシア人を守るため、ロシア軍は軍事介入を行いました。
実際に、クリミア自治共和国からロシアに対して、
治安を守るための要請が行われました。
これが、ロシアが軍事介入した理由です。
しかし、これはウソではありませんが、どちらかというと建前であり、
もう1つ重要な理由があります。
EU・アメリカの思惑
ヨーロッパにとって、かつてソ連は脅威でした。
ソ連が崩壊した今は、あまり想像できませんが、
超大国であり、軍事力も強く、実際に東ドイツやポーランド、ルーマニア等の
ヨーロッパの数か国は、ソ連の支配下にありました。
でも、現在は、ロシアがヨーロッパに
攻め入ることは、可能性としてかなり低いでしょう。
しかし、常任理事国でもあり、シリアの時のように、
国際社会への影響力も大きいといえます。
ヨーロッパ・アメリカとしては、
ロシアの力は、できるだけ抑えておきたいと考えています。
そこで、ヨーロッパとロシアとの間に挟まれた、
ウクライナをEUに加盟させることで、
対ロシアへのけん制にしようとしています。
また、NATOという軍事組織があります。
NATO(北大西洋条約機構)は、対ソ連での、
アメリカ・カナダ・ヨーロッパの軍事同盟として作られました。
ソ連崩壊後は、テロなどへの対応もあるようですが、
やはり対ロシアとしての軍事同盟です。
このNATOにも、ウクライナを加盟させようとしています。
目的は同じく、対ロシアへのけん制ですね。
ロシアの思惑と軍事介入の本当の理由
上記の通り、ウクライナは長い間ロシアの支配下・影響下にありました。
ここへきて、味方だったウクライナが、
対ロシアへの勢力(EUやNATO)に加盟するなんて、
ありえないに決まっています。
ロシアが軍事介入した本当の理由は、
ウクライナが敵対勢力側(NATO欧米側)に寝返るのを防ぐため
です。
では、なぜNATO・欧米側にウクライナがつくことを、
ロシアは避けたいのでしょうか?
これは、黒海に面している、ウクライナ・クリミア半島が、
NATOの手に渡ると、
NATOの艦隊(米国含む)が逗留することがありえるからです。
~引用ここから~
(前略)
ロシアはウクライナの新政権が欧州連合(EU)と包括的な関係を強める連合協定の早期調印へ動き出すことをすでに念頭に置いているとみられる。ロシアにとって譲れない一線は、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟。欧米主導の軍事同盟にウクライナが加わり、NATOとの緩衝地帯がなくなることはどうしても避けたい。
(攻略)
出典:日経新聞「ロシア、勢力圏譲らず ウクライナ緊迫」2014/3/1
~引用ここまで~
これはロシアにとって、絶対に避けたいことですね(^^;
そのため、ロシアは絶対に絶対にクリミア半島は、
ロシアの勢力圏として、守りたいわけです。
今後の可能性としては、
クリミア自治共和国の独立の可能性が考えられます。
クリミア半島はロシアにとって、超重要な拠点なので、
ウクライナから、クリミア半島を引き離して、
親ロシア国家として独立させてしまう思惑
があるのではないかな、と思います。
<追記>
と、思っていたら、なんと!
ロシアに編入されてしまいました!!
プーチン大統領の行動力、凄いですね( ̄▽ ̄)
さいごに
しかし、私腹を肥やす政治家や、大国の影響など、
ウクライナの国民からすると、迷惑この上ない話です。
毎度ながら、内戦や革命のようなものの裏には、
大国の思惑がありますね・・・
早く、事態が収拾されることをお祈りします。
いつも楽しく読ませて頂いてます
るさま
コメントありがとうございます。
またよろしくお願いします!
社会の時事問題で発表するのでこの文章を少しかりたいのですがよろしいでしょうか?
miraiさま
こんにちは。ご連絡ありがとうございます^^
レポートにするのであれば、URLを出典として明記くださいませ。
授業で発表するだけなら、OKですよ。
わかりやすとても読みやすかったです
質問があるのですがロシアが軍事介入する本当の理由のところで
ウクライナがロシアにとって重要拠点とかかれてました
なぜ重要拠点になるのか教えてもらえますか?
れいさま
コメントありがとうございます^^
> 質問があるのですがロシアが軍事介入する本当の理由のところで
> ウクライナがロシアにとって重要拠点とかかれてました
> なぜ重要拠点になるのか教えてもらえますか?
黒海に面している、クリミア半島が重要拠点なのは、
NATOの手に渡ると、米国の艦隊が逗留することがありえるようになります。
これはロシアにとって、絶対に避けたいことになるからです。
すごくわかりやすかったです。ありがとうございました。
コメント、ありがとうございます^^
ウクライナでのネオナチの台頭が直接の原因かと思ったのですが?
こんにちは。
クリミア半島をゲットしたロシアは大人しくなっていますので、目的はクリミア半島だったと思うのです。