南アフリカの、ネルソン・マンデラ元大統領は、本当に偉大です。
普通近代では、建前上は「人間は平等ですよ~(^▽^)」となります。
しかし、南アフリカ共和国のアパルトヘイト政策は、全人口の約15%の白人を優遇し、白人以外の黒人などの人種を堂々と差別するものでした。
今回は、その南アフリカの悪しき政策アパルトヘイトと、それを撤廃した20世紀を代表する偉人、ネルソン・マンデラ元大統領について、ご紹介したいと思います。
アパルトヘイトとは?
アパルトヘイトとは、南アフリカ共和国が国の政策として行っていた、人種差別政策です。
今の感覚からすると「えっ国が公に差別を!?」と思いますが、割と最近までそんな国があったんですね。
その一部をご紹介します。
アパルトヘイトとは?住む場所を分離
白人は産業が盛んで環境の良い土地に住み、黒人は不便な環境の悪い土地に住まわされました。
もともと環境の良い場所に住んでいた黒人は、強制移住・・・(;∀;)
アパルトヘイトとは?公共施設などの分離
電車やバス、ホテルにレストラン、海のビーチ、病院やトイレまで(!)が分けられました。
当然白人用の施設の方が優れていました。
アパルトヘイトとは?結婚・恋愛の禁止
白人と黒人の結婚を禁止しました。
恋愛もダメで、噂になるだけでも罰せられました(;゚Д゚)
なんだか中世のお話のようです。貴族のお姫様とその邸宅で働く青年、みたいな(笑)
他にもまだまだたくさんありますが、まあ、よくもここまで堂々とやれるわ・・・って思いました。
アパルトヘイトは国際社会からも非難
当然、こんな非人道的な差別は長くは続かず、国際社会からも非難されます。
例えば、1964年の我らが東京オリンピックから1988年のソウルオリンピックまで、追放制裁が行われました。
国連主導のもと、日本・アメリカ・EC(ヨーロッパ共同体・EUの前身)からは経済制裁が行われました。
国民の大半を構成する黒人達も、アパルトヘイトの撤廃を要求していきました。
アパルトヘイトが非難されなかった理由
実は、1994年という最近まで、国として人種差別を続けてこられたのには理由があります。
南アフリカ共和国は資源が豊富で、特に入手しにくいレアメタルの産出国でした。
そのため、アパルトヘイトについて非難すると、レアメタルの輸出をしてもらえなくなるという弱味があり、長い間、人種差別が堂々と行われてきました。
しかし冷戦が終わりソ連が崩壊したことで、旧ソ連から独立した国々からも、レアメタルを輸出してもらえるようになりました。
そこで、南アフリカ共和国への弱味がなくなったことで国際社会は、アパルトヘイトを非難できるようになった、というわけです。
そして、南アフリカの白人の政府指導者達も、ようやくこのバカバカしいアパルトヘイト政策を続けることの無謀さに気づき始めました。
この頃、反アパルトヘイト闘士として活動して投獄されていたネルソン・マンデラ氏と、対談することを決めました。
ネルソン・マンデラ氏が大統領に
ネルソン・マンデラ氏は、投獄されていました。
1962年に反アパルトヘイト運動により逮捕され、1964年から27年も牢獄暮らしでした。
(釈放時はなんと70歳)
そのネルソン・マンデラ氏と、当時の南アフリカ大統領であった白人最後の大統領デクラーク氏は、アパルトヘイト撤廃に向けて活動を本格的に進めていきます。
そして、1994年についに初の全人種参加の大統領選挙により、ネルソン・マンデラ氏が大統領に当選しました。
同時期に憲法も制定されました。
そして、アパルトヘイトは撤廃されました。
ネルソン・マンデラ元大統領の素晴らしさ
そして、ネルソン・マンデラ元大統領が、素晴らしいと思う点です。
この後、絶対的な権力を握ったネルソン・マンデラ元大統領ですが、自分を30年近くも劣悪な環境の牢獄に幽閉した白人達に対して、復讐しませんでした。
これ、想像できますか?
もしも今から30年近く、自分が無実の罪で投獄されたとしたら。
何も間違ったことはしていないのに、理不尽な理由で家族や友人と離ればなれにされたとしたら。
人生で最も素晴らしい時期を牢獄で過ごしたとしたら。
そして、その後釈放され、絶対権力者になったとしたら。
復讐や仕返しという文字が頭をよぎるのではないでしょうか?
・・・しかし、ネルソン・マンデラ元大統領は、
仕返ししませんでした。
恨みを恨みで解決することよりも南アフリカ共和国という国を良くしていこう
という、高い次元で物事を考えられる人、
まさに偉人( ´∀`)
というところが私が素晴らしいと思う点です。
さらに、もう1つ、投獄中のお話です。
もともとネルソン・マンデラ氏は終身刑でした。つまり、死ぬまで牢屋の中です(;゚Д゚)
しかもアパルトヘイトで、差別されている黒人が入る牢獄です。かなり劣悪な環境と想像できます。
しかし、マンデラ氏は、そんな中で希望を失わず、むしろ自分の敵である白人の看守達とも仲良くなろうとしました・・・
本当に脱帽です。
やっぱり偉人です( ´∀`)
このお話は、白人看守との友情の物語として、映画にもなりました。
ネルソン・マンデラ氏の投獄中の心の支え
投獄中の辛い時は、次の詩を唱えていたそうです。
素晴らしいので、引用します。
~引用ここから~
【インビクタス-負けざる者たち-】
ウィリアム・アーネスト・ヘンリー「私を覆う漆黒の夜 鉄格子にひそむ奈落の闇
私はあらゆる神に感謝する 我が魂が征服されぬことを無惨な状況においてさえ 私はひるみも叫びもしなかった
運命に打ちのめされ 血を流しても 決して屈服はしない激しい怒りと涙の彼方に 恐ろしい死が浮かび上がる
だが、長きにわたる脅しを受けてなお 私は何ひとつ恐れはしない門がいかに狭かろうと いかなる罰に苦しめられようと
私が我が運命の支配者 私が我が魂の指揮官なのだ」~引用ここまで~
私はこの詩を読みながら、獄中の様子を思い浮かべると正直泣けてきました。
自分はなんて恵まれているんだろう。ささいな事で弱音を吐いてどうする!と思いました。
改めて、マンデラ元大統領の素晴らしさと凄さを感じました。
その後、権力にしがみつくことなく、1期で政治家を引退します。
引退後は、
- ネルソン・マンデラ財団
- ネルソン・マンデラ子供基金
- マンデラ・ローズ財団
を設立し、エイズに苦しむ方や、子供や若者を支援されているとのことです。
そして2013年12月5日、マンデラ元大統領はその生涯を閉じました。95歳でした。
[…] ※アパルトヘイトについての詳しい話は こちらのサイトの記事にすっごくわかりやすく書かれています。 […]
DVDと本の紹介ありがとう。私も前にDVDでタイトルが詩と同じインビクタスクだったと記憶しています。内容は大統領が南アで初のラグビーのワールドカップを開催し(中略)やはり大統領の演出は素晴らしいと思いました。スポーツを通じて白人、黒人区別なく自国を必死に応援する姿は感動もので、これこそ大統領みずから描いた未来への国ずくりに必要な対立から融合だったからであり国民、選手一丸とって掴んだ勝利に拍手した事を思い出します。何回見てもいい映画です。
T・Aさま
コメントありがとうございます^^
良い映画ですよね~
映画の内容がネタバレになってしまうので、ちょっとだけコメントを修正させていただきました。
ありがとうございました。