アメリカと中国の間で、貿易摩擦の勢いが増しています。
自由貿易を推進していたアメリカが保護貿易に傾き、このことが世界的な景気の悪化につながる可能性があるので、各国が懸念していますが、今後もしばらくは続きそうです(涙)
さて、そんな自由貿易と保護貿易ですが、どんな違いがあるのでしょうか?
例えば自由貿易と保護貿易では、パンはどちらの方が安くなるのでしょう?
今回は、そんな自由貿易と保護貿易の違いを簡単に、さらに表でわかりやすくまとめました!
自由貿易と保護貿易の違いとは?簡単にわかりやすく!
自由貿易と保護貿易の違いは、簡単に言うと貿易取引に国家が介入するかしないか、です。
- 自由貿易:国家が介入しない→自由に取引
- 保護貿易:国家が介入する→取引に規制あり
さらにわかりやすく説明を加えると、こうなります。
- 自由貿易は国が規制をしないので、外国と自由に貿易ができ、国民は安い輸入品が購入できる反面、国内産業は常に外国と競争を強いられ、その結果負けてしまい市場から淘汰されることもあります。
- 保護貿易は国が自国に有利になるように規制をかけるので、国内産業は外国との競争から保護されます。しかし、外国と自由に貿易ができないため、国民は安い輸入品を買うことはできません。また、他国から非難されたり、制裁を受けることもあります。
続いては、自由貿易と保護貿易の違いを表でわかりやすく確認してみましょう。
自由貿易と保護貿易の違いを表でわかりやすく
自由貿易 | 保護貿易 | |
---|---|---|
国家の介入(関税) | なし | あり |
国家の介入(非関税障壁) | なし | あり |
国家の介入(輸入量制限) | なし | あり |
国内産業 | 国内で競争し、さらに他国とも競争 | 競争は国内だけ。他国との競争からは保護 |
消費者 | 安い外国産の商品が買える | 安い外国産の商品は買えない |
雇用 | 悪化 | 良好 |
自由な貿易 | できる | できない |
国際貿易の規模 | 拡大する | 縮小する |
世界経済への影響 | 良い | 悪い |
推進する国際機関 | WTO(世界貿易機関):昔はGATT | なし |
提唱者 | アダム・スミス、デヴィッド・リカードなど | なし |
国際協定 | EPA、TPP(EPAの一種)、FTA | なし |
「国内の雇用」について補足です。
自由貿易では国内産業のいくつかが、外国製品に負けて廃業する分野が出てきます。その場合、その業界で働いていた人達は失業しますので、雇用は悪化します。保護貿易はその逆で、国内産業が保護されますので、雇用は維持されます。
「自由な貿易」についての補足です。
自国で製造した、安価で品質が良い製品を輸出したいとします。それを各国に輸出すれば、大きな利益が得られると予想できます。この時、自由貿易を推進している立場ですと、他国への輸出は比較的簡単になります。しかし、自国が保護貿易をしていて、他国がそれに不満を持っているのなら、こちらの製品を売ることに非協力的になり、輸出は困難になってしまうでしょう。
自由貿易と保護貿易でパンの値段はどう変わる?
それでは、自由貿易と保護貿易ではパンの値段がどう変わるのか、わかりやすく例で見てみましょう。
- 国産小麦は高い
- 外国産小麦は安い
- 品質は両方とも同じ
→上記のことから、国内の小麦農家は安い外国産小麦に押されて苦戦している。さらに外国産小麦が自由に市場に出回ると、安い外国産ばかりが売れて廃業の恐れあり。
- 外国産の小麦に関税をかける
- 外国産小麦は関税が上乗せされ安くないので市場に出回らない
- パン屋さんは高い国産小麦でパンを作る
- 原価が高くなるのでパンの値段も上がる
保護貿易の結果、国内の小麦農家は助かりました。これが保護貿易のメリットです。
しかしデメリットとして、小麦を輸出したい他国から非難され、国際社会からは同様に報復関税などの制裁を受けることになりました。
- 外国産の小麦に関税をかけない
- 安い外国産小麦が市場に出回る
- パン屋さんは安い小麦でパンを作る
- 原価が安くなるのでパンの値段も下がる
自由貿易の結果、メリットとして国民は安いパンを買うことができました。また、小麦を輸出している外国とも、良い関係を築くことができ、さらに他の商品などの取引も盛んになりました。
しかしデメリットとして、国内の小麦農家は小麦が売れずに廃業するところが出てきました。
これではどちらが良いのか迷いますよね(^_^;)
それでは、自由貿易と保護貿易をそれぞれもう少し詳しく見て、その後どちらが良いか考えてみましょう。
自由貿易とは?さらに詳しく
自由貿易とは、国家が貿易に介入せず、外国と自由に貿易ができる状態を言います。国によって得意な分野が違うため、A国は農業、B国は自動車、C国は精密機械、などと国際的に分業する形となり、国はそれぞれ得意な分野で生産性を上げて、国際社会全体の利益となる考え方です。
現在の国際社会では、自由貿易を推進していきましょう!という傾向があります。
日本からの輸出では、自動車の関税撤廃(10%→8年後に0%)や日本酒の関税即時撤廃などがあり、EUからの輸入品は、チーズ(29.8%→16年後に0%)やワイン(15%→0%即時撤廃)などの関税撤廃が盛り込まれています。私はチーズが大好きなので、安くなるのは楽しみですね(*^_^*)
~引用ここから~
「自由貿易の先導役に」日欧EPA、来年発効へ安倍首相と欧州連合(EU)の首脳は17日、首相官邸で日本とEUの経済連携協定(EPA)に署名した。国会と欧州議会での承認手続きを経て、2019年初めまでの協定発効を目指す。人口約6億人、世界の国内総生産(GDP)の約3割をカバーする巨大な自由貿易圏が新たに誕生する。
(後略)~引用ここまで~
日本と欧州ではうまくEPAがまとまりました^^
しかし、アメリカやオーストラリアなど11カ国と日本が進めてきたTPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、アメリカの大統領がトランプさんに変わった途端、米国がTPPから脱退してしまいました(笑)
しょうがないので残った国でTPPは進めていますが、アメリカが抜けても、日本を合わせて全11カ国で世界経済全体GDPの約13%を占める規模で、かなり大きな自由貿易圏となります。
続いて、そんなトランプさんが推進する※保護貿易です。
保護貿易とは?さらに詳しく
保護貿易とは、外国製品に関税をかけるなどして国家が貿易に介入する政策です。関税が上乗せされた外国の商品は高くなりますので、国産商品の方が売れやすくなり、国内産業の保護や育成に効果があります。保護主義とも言われます。
主に次のような内容で輸入品に制限をかけます。
- 関税
関税をかけると、その関税率の分の商品価格がアップして価格の競争力が下がり、外国産製品は売れにくくなります。 - 非関税障壁
国内で出回る商品の質を、外国商品にとって厳しいものにし、実質の輸入を制限します。 - 輸入量制限
輸入OKな数量を制限し、国内に出回る量を少なくします。
他国からの安い商品を国内に流通させないようにして、国内産業を守るのが目的です。しかし、国民は安い外国産製品を購入することができない、などの弊害もあります。
より詳しくは以前こちらにまとめました。
保護貿易とは?簡単にわかりやすく!メリットとデメリットもご紹介♪
自由貿易と保護貿易の概要をご紹介しました。自由貿易と保護貿易は、それぞれ真逆の政策となるわけですね。
ちなみに日本の外務省には、「保護主義の抑止」というページまであります。
自由貿易と保護貿易:どっちが良いの?
それでは、自由貿易と保護貿易の違いを見てみましたが、どちらが良いのでしょうか?どちらもそれぞれ良いところと悪いところがありますよね。
完全に全て自由貿易!というのは現時点では無謀ですし、逆に全て国産商品を保護するぜ!なんてやっていると、他国から総スカンをくらいます(笑)
1kgあたり341円です。
四人家族などの世帯では、スーパーなどで10kgで購入することが多いと思いますが、10kgですと関税だけで3,410円です。これは、いくら外国産のお米が安くても太刀打ちできません。
実質の輸入拒否ですね。
日本はお米で譲歩しない分、何か別の商品で情報しているのでしょう。バランス良くウィンウィンの関係に持っていくのが貿易でも大切なのですね。
さいごに
自由貿易と保護貿易の違いでした!
保護貿易は当面の間、国内産業にはプラスに働くかもしれませんが、現在の国際社会はどうしてもグローバル化、自由化の流れです。
そのため、「なんだあの自己中心的な国は!」となってしまい、保護貿易の結果は他国からの非難や報復関税、制裁もセットになりますのであまりメリットがあるとは思えません。
アメリカも早く気づいてくれると良いですね(^_^;)
>日本からの輸出では、自動車の関税撤廃(10%→8年後に0%)
自分はちょっと心配なのはEUで日本車の関税がなくなっても
ドイツ車やイタリア車に勝てるかどうか不安です(´・ω・`)
というのも2018年の自動車販売ランキングで日本車は殆ど売れませんでした。
①日系のディーラー・販売店の数が少ない
まず第一の理由は、そもそもディーラー(販売店)の数が少ないこと。
②日本車はデザイン性がいまいち
二番目の理由は、基本的に日本車はダサい。もっと正確に言えば、
あまり印象やイメージが残らないデザインをしており、韓国車と似ている。
③ヨーロッパでも基本的に現地メーカーが強い
ヨーロッパでは「資産としての自動車」という位置付けが日本より強固です。
なので一般のヨーロッパ人は単に燃費のいい車は買わないそうです。つまり
将来お金に困ったら車を高く売れるようにしたい。なのでイギリスでも古い
車はプレミアがつき、ドイツでは基本外国産の車を誰も買わないみたいです。
こうしたことから、日本とEUで自由貿易が行われるのは一見凄いことかも
しれませんが、逆に言えばEUは一方的に日本から富を簒奪できると思って
居る可能性があります。海外でも「アニメやゲームが安く買えるのはいい。
ただ日本の農作物は福島のことが気になるし、日本の酒はいらないや」と
ワインやチーズなど、アメリカよりも保守的なヨーロッパの食文化を今後
日本がどう変えていけるのか若干心配ですね。ちなみに日本酒は親日家の
間では好かれてますが、ヨーロッパの一般人は日本酒を白ワインよりも劣る
ものだと思っています。中には紹興酒のように調味料扱いで考えています。
こういう文化の違いを日本企業が乗り超えられない場合、貿易戦争に負けますね。
R・山田様、こんにちは。
> 自分はちょっと心配なのはEUで日本車の関税がなくなってもドイツ車やイタリア車に勝てるかどうか不安です(´・ω・`)
というのも2018年の自動車販売ランキングで日本車は殆ど売れませんでした。
> ①日系のディーラー・販売店の数が少ない
> まず第一の理由は、そもそもディーラー(販売店)の数が少ないこと。
こちらはどこかの他国での日系ディーラー数が少ない、ということですよね?
> ②日本車はデザイン性がいまいち
> 二番目の理由は、基本的に日本車はダサい。もっと正確に言えば、あまり印象やイメージが残らないデザインをしており、韓国車と似ている。
私も常日頃思っています。不思議なのが、海外から有名デザイナーを雇ってデザインしているメーカーもあるようですが、外車に比べてデザインがパッとしませんよね。なぜでしょうか?本当に不思議です。もちろん日本車にかっこいいと思う車もいくつかありますが、他国メーカーと比べてカッコいい!と思えるデザインは少なく感じます。
> ③ヨーロッパでも基本的に現地メーカーが強い
> ヨーロッパでは「資産としての自動車」という位置付けが日本より強固です。なので一般のヨーロッパ人は単に燃費のいい車は買わないそうです。つまり将来お金に困ったら車を高く売れるようにしたい。なのでイギリスでも古い車はプレミアがつき、ドイツでは基本外国産の車を誰も買わないみたいです。
なるほど。そういう価値観の違いがあるのですね。それなら日本車は売れにくそうです。ランクルなら資産価値もありそうですが、日常使いには不向きですし(^_^;)
> 逆に言えばEUは一方的に日本から富を簒奪できると思って居る可能性があります。
そうでしょうね。お互いにここで勝てる!うちが得する!という思いがあるのでしょう。日本はブランドの構築が苦手ですよね。
ただ、燃費が良く壊れにくい自動車というのも、実現しようとしてもなかなか一朝一夕ではできません。そういった需要もあるでしょうから、そこに一日の長がある日本車メーカーにあまり悲観しなくても良いのではないかな、と思います。
最近のマツダのデザインが良くなってきたように、日本車のブランド力は長い期間をかけての構築途中なのかもしれませんね。