よく、ニュースで耳にする「ユネスコ」。一体どんなものかご存知でしょうか?
国際的な機関?団体名?それとも条例をまとめた総称?
私自身も以前は、ユネスコって何だろう?名前は有名だけど、実際には何をしているところ?なんて思っていた時期もありました。
そんな、名前はよく耳にするけど、縁がない人にはピンときにくい「ユネスコ」。今回は、ユネスコとは何か?こちらを簡単にご紹介します♪
後半で、最近注目されているユネスコの問題点にも触れてみます。
では、いってみましょう!
UNESCOユネスコとは何か?まずは基本情報から
ユネスコは簡単に言えば、国連(国際連合)の機関です。取扱分野は、教育と科学、文化面について扱っています。
- 正式名称:国際連合教育科学文化機関
- 英語:United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization
英語の頭文字をとって、U.N.E.S.C.O.と呼ばれていて、本部はフランスのパリに置かれています。
2014年の時点で地域事務所は世界55か所、加盟国数は195カ国にのぼります。
トップの事務局長には任期があり、過去の日本人の事務局長としては、1999年11月~2009年11月まで、第8代事務局長として松浦晃一郎氏が務めました。
2016年現在は、ブルガリアのイリナ・ボコバ氏が事務局長を務めています。
- 1946年(昭和21年)11月4日:創設
- 1945年(昭和20年)11月16日:憲章採択
- 1951年(昭和26年)7月2日:日本が60番目に加盟
- 1980年代:放漫財政、活動の政治化、報道の自由の制限への懸念などの問題が起きる
- 1984年:上記の問題によりアメリカ脱退
- 1985年:イギリス、シンガポール脱退
- 1997年:第7代事務局長マヨール氏、第8代事務局長松浦氏の元、改革が成功した結果、イギリス復帰
- 2003年:アメリカ復帰
ユネスコの前身は、1922年に国連(国際連盟)下に創設された、「国際知的協力委員会」とされています。アインシュタイやキュリー夫人が出席していたそうですよΣ(゚Д゚)!
さらに、旧五千円札の顔、武士道の著者、新渡戸稲造が事務を担当していました。
アメリカやイギリスが脱退している間も日本はとどまり、分担金を全体の4分の1近く拠出しました。
日本ユネスコ協会連盟とユネスコは完全な別組織です。ユネスコは各国政府が加盟する「国連組織」で、日本ユネスコ協会連盟はユネスコ憲章の理念に基づいた活動をしている日本の「民間組織」です。
ユネスコ設立のきっかけは第二次世界大戦!?
ユネスコの設立のきっかけは、第二次世界大戦です。
教育や文化の発展を通じて、戦争の悲劇を再び引き起こさないように、という願いの元、終戦前の1942年にイギリス外務省が呼びかけをしました。
それに応じた、ヨーロッパ各国の文部大臣がイギリス・ロンドンにて、連合国教育大臣会議を開き、この時のロンドン会議が、UNESCOの生みの親となりました。
そして戦後の1945年11月、イギリスとフランス政府がユネスコ創立の為の会議を招集。この会議で、広島・長崎に核兵器が使われたことに触れ、科学が平和のために使われなければならないと、教育・文化に加えて科学もユネスコで扱う事に決定しました。
核爆弾を始め、各種の強力な兵器を作ってしまった、ある意味恐ろしい人類ですが、平和を望む姿勢や取り組みもちゃんと行っているわけですね(*^_^*)
ユネスコの活動内容は?
様々な活動をしているユネスコ。その主な活動をあげてみました。こちらも簡単にみてみましょう(^-^)
- 識字率の向上
- 義務教育・普遍的初等教育の普及
- 世界遺産の登録と保護
- 記憶遺産の登録
- 文化多様性条約の採択
- 教育における男女差別の解消
- 貧困の半減
など、国連の教育・文化・科学関連の発展や向上につながる活動が、主なものとなります。
この中で最も有名なのが、世界文化遺産についての活動です。日本も最近では、富士山や京都の寺院など、色々な場所が登録されましたね♪
そこで、ユネスコの世界遺産の活動にスポットを当ててみたいと思います。
世界遺産への登録手順!
まずは世界遺産登録への手順を見てみましょう。
- 世界遺産条約を締結
- 自国内の世界遺産暫定リストを作成・提出
- 暫定リストに記載されたものの中から、条件が整っているものを選出・推薦
これが終わると、いよいよユネスコに推薦状を提出します。
- ユネスコ世界遺産センターが各国政府からの推薦状を受理
- 物件の調査を依頼
〈文化遺産の場合〉例:ICOMOS(国際記念遺跡会議)が調査
↓
調査結果をユネスコ世界遺産センターに報告
↓
世界遺産委員会が候補地を審査し、世界遺産リストへの登録を決定 - 〈自然遺産の場合〉例:
IUCN(国際自然保護連合)が調査
↓
調査結果をユネスコ世界遺産センターに報告
↓
世界遺産委員会が候補地を審査し、世界遺産リストへの登録を決定
世界遺産条約締約国の中から選ばれた21カ国によって構成されている委員会。世界遺産リストや危機遺産リストの作成、登録遺産のモニタリングや保護支援、世界遺産基金を用いて援助を行っています。
委員国はアジア・オセアニア・アラブ諸国・アフリカ・欧州/北米・カリブ/ラテンアメリカの5地域からバランス良く選出されます。任期は6年ですが、自発的に4年に縮めることも可能です。
パリのユネスコ本部内に設置された事務局。世界遺産委員会開催のための事務作業、締約国への情報・技術提供、世界遺産基金の運営などを行っています。
ユネスコは、世界遺産の登録だけでなく、削除などもしているんですよ(゜o゜)
世界遺産委員会は毎年行われています。
続いては、ニュースなどでも見聞きする、記憶遺産、世界の記憶についても見てみましょう。ユネスコの問題点とも関係してきます。
ユネスコの記憶遺産(世界の記憶)って何?
慰安婦問題などで、初めて耳にした方も多い「記憶遺産※」。
これは、手書き原稿や書籍、新聞、ポスター、図画、地図、音楽、フィルム、写真等を対象に、重要な歴史的に価値の高い記録を相応しい技術で保存し、多くの人がアクセスできるようにするための取り組みです。1992年から2年ごとに、登録が行われています。
現在登録されている世界の記憶の一部をご紹介します!
- 人権宣言(フランス)
- アンネの日記(ドイツ)
- ベートーヴェンの交響曲第9番の直筆楽譜(ドイツ)
- 御堂関白記(日本)
- 古代ナシ族のトンパ文字(中国)
他にも2015年10月現在で、348件登録されています(日本からは5件)。
しかしこんな素晴らしい活動である、世界の記憶の保全が、残念なことに政治利用されている問題点があります。
世界の記憶の政治利用の問題
最近ですと、韓国や中国が資料の登録申請をした「従軍慰安婦問題」や「南京事件」が話題になりましたね。その申請では、南京事件についての資料が登録されることになってしまいました。
記憶遺産の審議は非公開で行われるので、国家間で見解が異なっている事を、非公開で審議することへの批判があったり、政治的な利用が問題とされています。
実際に、南京事件の時に日本政府は中国に対して、申請の取り下げを申し入れましたが断られ、次に申請書類の共有や、日本人の専門家の派遣受入を要請しましたが、やはりこれも中国側は拒否しました。
なぜでしょうね?
また、ユネスコは国際機関のために中立であり公平なはずですが、南京事件の件では、中国側の意見のみ聞き入れられ、日本側の意見は聞き入れられませんでした(涙)。
本来なら両国の意見を確認して、異なる意見がある場合は、登録は保留にすべきではないでしょうか?
上記のことから、ある国の政治利用としてユネスコが利用されている!という問題点が懸念されています。
この南京事件の登録を受けて日本は、記憶遺産アジア太平洋地域委員会の総会に、日本人専門家を初めて派遣しました。また、外務大臣が事務局長に登録手続きの透明化などの制度改革を提案しています。
世界は弱肉強食です(涙)。
ユネスコのような教育・科学・文化の平和の権化のような機関でも、しっかりと目を光らせて立場を主張しないと、自国に不利になることがわかってしまいました(ノД`)・゜・。
ちなみに、ユネスコの運営資金は、各国の分担金でまかなわれています。その額は経済状況を考慮され決まります。日本はアメリカに次いで2位の分担率。
なのですが・・・アメリカは現在、分担金を停止中ですので、実質日本がトップです。
一番、お金払ってます。
弱肉強食で言えば、一番の強者なんですけどね(^^;
しかし、先の南京事件で、ユネスコの信ぴょう性のチェックなどの点で、おかしさが際立ちました。そんな状況ですので、分担金を停止してはどうか?という意見が出ています。
まあ、当然ですね。世界は綺麗事では動いていません。中立さが怪しい機関に、日本国民の血税を払う必要は1ミリもありません。ただでさえ国民の借金が莫大で~とか毎日のようにニュースでやっていますし。
しかし、「日本は自国に不都合があるから分担金を停止した!」と、心無い国は叫ぶでしょうから、すでにユネスコの決定に不満を表明して分担金停止中のアメリカとしっかり連携して、日本が孤立する可能性は慎重になくす必要はあります。
さいごに
ユネスコとは何か?簡単にご紹介してみました!
途中、問題点があり少し熱くなりましたが・・・(^^;
せっかくの平和を目的とした国際機関ですので、公平さは気をつけてもらいたいものですね。