防空識別圏とは?領空との違いをわかりやすく

防空識別圏って、ニュースで最近よく耳にするようになりましたね。

中国が、尖閣諸島上空に防空識別圏を設定したことで、
日本を始め、アメリカや韓国などの周辺国家が、抗議しています。

領空は、聞いたことがありますが、
防空識別圏は聞き慣れない言葉ですね。

今回は、この防空識別圏と領空の違いをわかりやすくご紹介します。

領空とは?

戦闘機と領土

領空とは、領海の境界線までの空のエリアです。

領海は、領土の海岸線から、
12カイリ(約22km)までとなっています。

ほとんど国土の上空と言えるエリアです。

防空識別圏とは?

防空識別圏とは領空の外側に設けられた、
エリアのことをいいます。

これは、何のために設置しているのかといいますと、
外国の飛行機が、悪意を持ってやってきた時に、
領空に侵入されてから対応していては、遅すぎるからです。

戦闘機であれば、数十秒もあれば、領土上空に到達するため、
国民の命や財産を守ることができません(;゚Д゚)

そのため防空識別圏とは、領空に近づく外国の軍用機に対して、
戦闘機によるスクランブル(緊急発進)を行い、
前もって警戒するためのエリアとなります。

とはいえ、国際法上の法的根拠は特にありません。

防空識別圏と領空での対処の違い

他に、防空識別圏と領空の違いについて、
領空に入る場合の許可と、防空識別圏に入る場合の許可で、
それぞれ見てみましょう。

領空に入る場合の許可

領空に、外国の軍用機が入る場合、必ず飛行の許可をとる必要があります。

当然ですね(^_^;)

民間の航空機の場合は、前もって航空協定を結んでいで、
フライトプランを飛行前に提出しています。

管制機関の、飛行の承認を受けた上で、
航空機は飛行しています。

正体不明の飛行機が、警告を無視して領空内に入ってきた場合、
外国の軍用機に対しては、軍事行動を取る権利が、国際法上認められています。

民間の航空機を撃ち落とすことは、いかなる場合でも禁止されています(後述)。

防空識別圏に入る場合の許可

領空に対して防空識別圏は、国際法上の法的根拠はありません。

外国に許可を求めることはできますが、
強制力はありません。

あくまで、このエリアに侵入してきた外国の軍用機に対して、
戦闘機によるスクランブルを行い、
このまま進むとわが国の領土ですよ、と注意や警告を行えるにすぎません。

MEMO
防空識別圏での、軍事的な防衛的措置は認められていません。

日本の防空識別圏はいつ設定された?

日本の防空識別圏は、戦後1945年に、
アメリカが決めたエリアをほぼそのまま使用しています。

最近の変更では、2010年6月に、
日本の最先端の与那国島付近の防空識別圏を拡大しました。

これは、もともと日本の領土である与那国島の上空が、
台湾の防空識別圏と重複していたため、問題があったものなのですが、
中国との尖閣諸島の問題が、拡大する気配があったため、
正しく設定し直したものです。

↓台湾(中華民国)の国旗。

1970年までは中国といえば、こちらでした。
台湾(中華民国)国旗

領空でも民間航空機は撃ち落としてはならない

1983年に、悲しい事件がありました。

大韓航空機爆撃事件といいますが、
当時のソ連の領空に、大韓航空機が侵入してしまいました。

侵入後、ソ連の戦闘機に撃ち落とされ、
乗客269人全てが、亡くなるという悲劇がありました。

このことで、ICAO(国際民間航空機関)では、
民間の航空機はいかなる理由でも、
打ち落とすのは禁止されることになりました。
(シカゴ条約3条の2)

以上が、防空識別圏と領空の違いについてのご紹介でした。

防空識別圏に対しての法的根拠がない、というのは意外という印象ですね。

読んでいただき、ありがとうございました。

2 COMMENTS

匿名

凄く分かりやすかったです。
とても重要な問題なので、理解できて良かったです。

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です