北方領土問題をわかりやすく解説します

北方領土風景

2016年12月15日、日本とロシアとの間で、満を持して首脳会談が行われました。しかし、結果は日本にとって「すぐに」領土問題の解決が感じられる内容ではありませんでした

まだまだ粘り強く、日露関係を阻むこの問題に取り組む必要があることがわかりました。


今回はこの、日本とロシアがなかなか、真の友好的な関係になれない原因の、
北方領土問題についてわかりやすく解説します^^

北方領土の位置と面積

北海道


まず、北方領土は、どこにある領土のことでしょうか?

北方領土とは、北海道の北東にある島々のうち、次の4つの島々(地図の赤丸部分)のことをいいます。

北方領土の島々

  • 歯舞群島(はぼまいぐんとう)
  • 色丹島(しこたんとう)
  • 国後島(くなしりとう)
  • 択捉島(えとろふとう)


小学校の社会で習いましたね。

では、これらの島の面積はどのくらいあるのでしょうか?

北方領土の面積

  • 歯舞群島:98.2平方キロメートル(歯舞群島の島々を合わせて)
  • 色丹島:253平方キロメートル
  • 国後島:1,499平方キロメートル
  • 択捉島:3,184平方キロメートル


大きさがそれぞれだいぶ違いますね。


では、北方領土問題とは、何の問題をいうのでしょうか?

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北方領土問題とは?

日本とロシアはいまだ、戦後半世紀以上も経つのに、

平和条約が結べていない状態

です。

戦争が終わって、色々なことを精算して、
これからはお互い、平和的に仲良く頑張っていきましょう!

という平和条約が結べていません。


その原因は、日本固有の領土である北方領土を、

ロシアが実行支配しているため

です。

そのため、

経済や政治の分野で、もっと交流しようよ!(^^)!

という日露間の動きが出ても、領土問題が暗い影を落とし・・・

一向に活発になりません(;∀;)

これが、北方領土問題です。

ではなぜ、北方領土をロシアが実効支配しているのでしょうか?

北方領土が占拠された当時の状況

北方領土が占拠された当時、日本とロシア(当時ソ連)は、

日ソ中立条約を結んでいました。

日ソ中立条約とは、
有事の際はお互い中立で、侵略行為は行いませんよ

という国家間の約束事です。

これをソ連は、一方的に破棄した上で攻め込んできました(;゚Д゚)
※ただしソ連(ロシア)は、日本が先に条約を破棄したと主張(後述)

また、

日にちは、太平洋戦争(第二次世界大戦)が終わる直前、
日本が負けを認め、無条件降伏の意図をはっきりと表明したあとの
8月8日に日本へ宣戦布告を行い、8月28日にソ連軍は北方四島に侵攻しました。

終戦記念日8月15日の後です・・・日本が本当にズタボロの時ですね。

上記2つの状況から、
日本としては、不正に奪われた印象が強く、

「4島とも返還されるべき」という

意見が根強くあります。

日本とロシアの主張

そして、それぞれ日本とロシアの主張を、見ていきましょう。

北方領土に対する日本の主張

まず、日本です。

上記に書いた通り、

「不正に占拠された領土を全て返してほしい」です。

また、過去にアメリカからの要求や、国内事情から、2島返還や、4島返還など、日本の主張が、ころころ変わったという問題点もあります。

北方領土に対するロシアの主張

次にロシア側の主張です。

ロシアとしても、日本と協力する必要性を感じている点と、
不正に占拠した認識があるためか、島の一部は返還しようとしています。

返還の内容は、1956年に結ばれた日ソ共同宣言で、
決まった、歯舞と色丹の2島を「平和条約締結後に」日本に返還する。

これがロシア側の主張です。

しかし、この2島返還は不平等なんです。

それは面積です。

日本に返還される、歯舞と色丹で合わせて、
351平方キロメートルです。

ロシアに残る、国後と択捉を合わせると、
4,683平方キロメートルあります。

その差、13倍以上・・・(^_^;)

これでは日本は納得できませんよね。


そのため、なかなか領土問題は解決に向けて進みません。

また、ロシアの主張として、

日ソ中立条約を先に破ったのは、
日本であり、非難されるいわれはない。

と、いうものがあります。

日本は第二次世界大戦の当時、ソ連とドイツがもめている時に、満州で演習という名目で軍事行動を行い、ソ連軍を満州付近にひきつけました。その間、ソ連は対ドイツ向けに、兵隊を割きにくい状態が発生しました。

日本も当時はしたたかだったんですね~


また、重要ポイントですが、日本と連合国側での第二次世界大戦の後始末である、昭和27年のサンフランシスコ条約(日本と連合国との平和条約)では、日本の各種権利の放棄が決められ、国土が決定されました。

そこには、第二次世界大戦前に日本が領有していた、朝鮮半島や台湾などの領有権の放棄に加え、千島列島(ちしまれっとう)の権利も放棄しているのです。

千島列島には、一般的には北方四島の内の大きな島2つ、択捉島と国後島も含まれています
※日本政府は含まれていないとしていて、北海道の属島としています。

つまり、日本政府はサンフランシスコ条約で千島列島を放棄したじゃないか!という点もロシアの言い分としてあります。日本としても苦しい部分でしょう(^^;

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解決するとどうなる?メリットは?

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それではこの問題が解決すると、具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか?

それは、喉から手が出るほど欲しいものが、
日本とロシアそれぞれ手に入る可能性が高まります。

ロシアの欲しいものは産業!日本の技術力

ロシアは、石油・ガス以外の産業を活発化させようとしています。

なぜなら、ロシアはGDPの多くを、石油・ガス産業に頼っている状態なので、石油とガスが安定して高値で取引されている場合は、右肩上がりの成長が続きます。

しかし、リーマンショックのような不況や、石油・ガスの価格を、中東が戦略的に増産して値下げした場合(米国の意向で過去にありました)、経済が大打撃を受けてしまいます。

そのためロシア政府は、日本の技術力・経済力を呼び込み、
石油ガスに依存した脆弱な経済状況を立て直したい!と考えています。

日本の欲しいものは石油とガス!プラス大事な安全

日本も欲しいものがあります。

それは、ロシアのガス※と、日本の安全です。
※ロシアは天然ガス埋蔵量世界1です。

今、日本は高い価格で世界各国からガスを購入しています。

そのため、ロシアから安い価格で購入したいんですね。


そして、ロシア側も米国のシェールガス革命のあおりで、天然ガスの輸出が減少していて、大量消費してくれる日本には、たくさんガスを売りたいと思っています。

これは、win-winの関係になれますね^^


また、2つ目の日本の安全についてですが、今後の安全保障上、超重要で、大きな意味を持ちます。

それは、日中関係ですね。

ここは長くなりますし切実ですので、この部分は次回にまとめたいと思います。

日本とロシアの関係とは?改善されるとメリットはある?
日本は、2014年の現在、3つの国と、 次の領土問題があります。 中国:尖閣諸島※ ロシア:北方領土 韓国:竹島 ...

ともかく、現時点で日露は、お互い求めあっている部分があるわけですね。

プーチン大統領は親日家

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また、大統領である

プーチンさん(柔道8段)は大の日本好きです^^

あんな怖そうな顔で、

萌え系アニメとか好きだったら、どうしよう( ´∀`)

国家間の交渉時は、一切妥協しない鉄人ですが(^_^;)

プーチンも日本との関係改善を強く望んでいます。

~引用ここから~

プーチン:日本との平和条約に向けて 敵ではなく友のイメージを創らなくてはならない

【2013年10月8日 The Voice of Russiaより】

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、日本との平和条約締結に向けた実際の作業が進んでいると強調した上で、目標達成の展望について楽観的であることを明らかにした。APECサミットを総括する記者会見でプーチン大統領は、様々な分野における日本との協力によって「夢見るだけでなく、平和条約締結に向けた実際のプランにそって取り組むための条件が整いつつある」との考えを示した。
またプーチン大統領は、セルゲイ・ラヴロフ外務大臣およびセルゲイ・ショイグ国防大臣が、平和条約締結準備の枠内で、11月に日本を訪問すると指摘している。

~引用ここまで~


プーチンは、ある程度本気で、北方領土の解決を望んでいるように思えます。

<2016/12/15追記>

2016年12月15日に、安倍首相の地元である山口県で、プーチン大統領が来日し、北方四島や経済協力について首脳会談が行われます。

非常に重要で、歴史に残るかもしれない会談になりますので、とても期待しています(*^_^*)

<2016年12月21日さらに追記>

残念ながら、この会談の「成果」は、次の通りです。

  • 日本がロシアに3,000億円の経済協力を行う
  • 経済協力の分野は様々な分野に
  • 島の共同開発はロシアの法律の元で行われる
  • 元島民のビザなしでの交流(お墓参りなど)の実現を検討する

ビザなし交流は素晴らしいことですね。

ただし、肝心の領土問題や平和条約に関する進展は特にありませんでした。ロシア側の意見は、経済協力で進展して始めて、領土問題や平和問題を解決することができる、というものです。

つまり悪く言えば、「先に金を出せ。話はそれからだ。」という内容でしょうか(涙)。

しかし良い面としては、今すぐには解決の道筋は見えませんでしたが、今後は経済協力で「日露お互いが儲かれば」お互いの信頼感はアップし、儲かり続けている間は、仲良くできるでしょう。

中国に対する牽制という意味では、大きな一歩と言えます(*^_^*)

北方領土問題の解決策

では、どのようにして解決すれば良いのでしょうか?
過去に出た解決策には、次の案があります。

  • 2島先行返還
  • 3島返還
  • 共同統治
  • 面積2等分

それぞれ、見てみましょう。

北方領土問題の解決策!2島先行返還

日ソ共同宣言の通り、歯舞・色丹を返還する。ただし、これも返還の後でさらに分かれます。

ロシアの主張は、

「ハイ、これで領土問題終了。めでたしめでたし(^▽^)」

日本の主張は、2島返還後に・・・

「で、あと2島(国後と択捉)はいつ返してくれるの??継続協議しようね!ね!」

日露間の認識に大きな違いがあります・・・

追記:さらに衝撃的な事実がロシア側から!

2016年12月の日露首脳会談で、衝撃的な事実がプーチン大統領から示されました。

~引用ここから~
「プーチン氏と隔たり」 歯舞・色丹島引き渡しで首相

安倍晋三首相は17日の日本テレビのインタビューで、ロシアのプーチン大統領が北方領土問題を含む平和条約交渉で、1956年の日ソ共同宣言を起点に据えていることを明らかにした。同宣言は平和条約締結後の色丹島と歯舞群島の日本への引き渡しを明記しているものの「『主権を返すとは書いていない』というのがプーチン氏の理解で日本側と齟齬(そご)がある」と語った。

出典:日経新聞HPより
~引用ここまで~

なんということでしょう!!

引き渡すけど、主権を返すとは言ってないぜ!ですって。

これにはガッカリです。プーチンさん、もう少し”男”だと思っていました。かなり幻滅です。振り出しというか、マイナスになったようにすら感じられます・・・

しかし、これには理由がありました。

ロシアは、返還した島に米軍基地ができることを非常に懸念しているのですが、2016年11月に谷内正太郎・国家安全保障局長(つまり国防のお偉いさん)が、ロシアに行った時にこう聞かれました。「歯舞、色丹を引き渡したら、米軍基地を置くことってある?」と。

そこでなんと、「可能性はあるよ」と答えてしまったのです!

なんとまあ・・・!

そんなことを言えば、ロシア側が態度を急変させるのもわかる気がします。

返してほしくないのでしょうか?

ちなみに、2000年に当時の森首相が同じ質問をされた時は、「米軍基地をおくことはないよ!」と答えられています。

北方領土問題の解決策!3島返還

歯舞・色丹・国後を日本領、択捉をロシア領とするものです。面積的にバランスが良いのですが、法的な根拠はありませんし、ロシアにとっては損なだけですので、まず通らないでしょう。

北方領土問題の解決策!共同統治

2島返還後、国後・択捉を日露両国で共同統治するものです。

日本としてはまあまあ、でもロシアが条件を飲むには、相応の見返りが要求されるでしょう。

北方領土問題の解決策!面積2等分

歯舞、色丹、国後の3島と、択捉の25%を日本領、択捉の75%をロシア領とするもの。こちらは3島返還よりもさらに面積的につっこんだ内容ですが、これもロシアが了承することはないでしょう。


以上の解決策があります。

日本としては、面積2等分が一番メリットがありますね。

※4島返還は、現実的に実現しない可能性が非常に高いため、ここでは取り上げません。

さいごに

北方領土問題についてでしたが、いかがでしたか?

この問題って、解決するのが本当に難しいと感じました。

なぜなら、領土は「国の命」みたいな考えがあるからです。日本もロシアも、経済協力や安全保障の分野で協力したことが大きなプラスになるとわかっていても、国民が許してくれません。判断を謝ると、首相でも大統領でもかなり叩かれてしまいます。

そのまま、支持率が激減して政権が終了、なんてことにも繋がりかねません。ここが解決の難しいところでしょう。

しかし、両首脳の支持率はかなり高いです。安倍さんもなんだかんだ言いながら、日本としては珍しい長期政権で高い支持率を維持していますし、プーチンにいたっては、さらにそれ以上です。

日本の国民も、北方四島が全部返ってくることはまずあり得ない、ということが世論調査でも出ていますので、2島返還での日本国民からのブーイングも、昔よりはずっと減ることでしょう。

この2人がトップである今がこの北方領土問題解決の、最大のチャンスとも言えるのですが、なかなか厳しいことが、2016年12月15日の日露首脳会談でハッキリしました。

外交は、かなり長い時間がかかるものですね。

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コメント

  1. Sandy より:

    北方領土問題と尖閣諸島問題を国際社会と国内社会に触れながら、共通点と異なる点を述べ、リアリズムの観点から解説するとしたらどう解説したらいいですか?

    • オトメンパパ より:

      Sandyさん、こんにちは。

      コメントありがとうございます。

      リアリズムの観点からですと、国益の視点から解説すると良いと思います。

      北方領土の解決における日本にとってのメリット、ロシアにとってのメリット、日露が協力することでの中国への牽制など。

      尖閣も同様に、国益重視で考えると良いかと思います。

      よろしくお願いします。

  2. みゅ より:

    北方領土にロシアが攻め込んできたのは8月28日ではなかったでしょうか?(・_・;)
    間違ってたらすみません…
    この記事、とても参考になりました!

    • オトメンパパ より:

      みゅ様こんにちは。

      > 北方領土にロシアが攻め込んできたのは8月28日ではなかったでしょうか?(・_・;)

      確かにその通りです。
      宣戦布告と間違って掲載しておりました。修正しました。
      ありがとうございますm(_ _)m

  3. ひまうま より:

    とても参考になりました。こちらのblogでも、引用させて頂きます。

    こう言う本質に触れた内容を探してました。

    事ある毎にお邪魔致します。

    • オトメンパパ より:

      ひまうまさま、こんにちは!
      ご連絡ありがとうございます^^
      うまく解決の目処が立つと良いのですが・・・

  4. 匿名 より:

    面積の表示が間違いです。
    ㎡ではなく㎢です。

    • オトメンパパ より:

      ありがとうございます!
      修正致しました、もの凄く狭くなってしまっていましたw